今日は企業経営理論H25第29問について解説します。
次の文中の空欄A〜Dに入る語句の組み合わせとして最も適切なものを、下記の解答群から選べ。
P 氏はある酒屋の4代目として店を継ぐことになった。3代目からも聞いていたとおり、この店がある商店街は一昔前と比べると活気がなくなっている。P 氏は自分の店の活性化策として 【 A 】 ブランド商品を品揃えの中核に据え、贈答用の小物や日常的に使用できる気の利いた雑貨もそのラインアップに加えた。美術大学で産業デザインを学び、コンテスト入賞経験を持つ P 氏は仕入れた商品に装飾を施すなど、【 B 】 加工による独自の付加価値づくりを重視し、地域の消費者のギフト需要を吸収するようになっていた。
P 氏はさらに先代の時代から懇意にしていた取引相手である中小の地方酒造メーカー数社の同世代経営者と連携を深めていく。P 氏は商店街の懸賞企画の一環で地域消費者の家庭での食生活や外食の嗜好についての大規模なアンケート調査を実施した。その結果、この地域市場には飲食料品の消費について明確な消費者クラスターが存在することが分かった。
これを踏まえ、P 氏は各酒造メーカーと原材料段階までさかのぼった共同商品開発に着手し、4種類の日本酒を【 A 】 ブランド商品として導入した。その際、作り手の顔が見えるように、それぞれの酒造メーカーの企業名も併記する形のブランド名称を採用した。このようなブランド表記はダブル【 C 】と呼ばれる。
P 氏はこれら特異な商品を自店の【 D 】 ブランドとして、商店街活性化のために活用しようと考えた。そして、地域の飲食店への卸売もスタートした。
〔解答群〕
ア A:地域 B:流通 C:マーク D:ラグジュアリー
イ A:ナショナル B:意匠 C:マーク D:小売店舗
ウ A:プライベート B:意匠 C:マーク D:ストア
エ A:プライベート B:自家 C:コンテンツ D:小売事業
オ A:プライベート B:流通 C:チョップ D:ストア
解説
ブランド戦略に関する問題です。
穴埋め問題なので、空欄を順に見ていきましょう。
【 A 】は、選択肢より候補として「地域」「プライベート」「ナショナル」の3つありますが、最初の空欄は文脈上どれでも成立します。後半の空欄には、「酒造メーカーと原材料段階までさかのぼった共同商品開発」という記述から、「プライベートブランド」か「地域ブランド」が候補と考えられます。
【 B 】は、選択肢より候補として「流通」「意匠」「自家」の3つありますが、「美術大学で産業デザインを学び、コンテスト入賞経験を持つ P 氏は仕入れた商品に装飾を施すなど」という記述から「意匠」を連想させますが、流通上の加工であることから「流通加工」も違和感が少ないと考えます。
【 C 】は、選択肢より候補として「マーク」「コンテンツ」「チョップ」の3つありますが、「その際、作り手の顔が見えるように、それぞれの酒造メーカーの企業名も併記する形のブランド名称を採用した。このようなブランド表記はダブル【 C 】」とあることから、二つのランド名を併記するという意味で「ダブルチョップ」と特定できます。この段階で選択肢オに矛盾しなければ正解と考えます。
【 D 】は、選択肢オの「ストアブランド」が有力候補になり文脈上の違和感がありません。他候補の「プライベートブランド」はA欄に入れても違和感がありません。また、【 B 】には選択肢オの「流通」加工も成立します。
以上から、正解は選択肢オとなります。