今日は経済学のH25第6問について解説します。
資産は貨幣と債券の2つから構成されており、貨幣に利子は付かないと想定する。貨幣供給量を増加させた場合、これが企業の設備投資や家計の住宅投資に与える影響に関する説明として、以下の⑴と⑵において、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。ただし、資産市場ではワルラス法則が成立しているものとする。
⑴ 債券市場では、
a 超過需要が発生し、債券価格が上昇することで、利子率が低下する。
b 超過供給が発生し、債券価格が下落することで、利子率が上昇する。
⑵ ⑴における利子率の変化により、
c 債券から貨幣への需要シフトが起こり、また投資を行う際に必要な資金調達コストが低下するため、投資が促進される。
d 貨幣から債券への需要シフトが起こり、また投資を行う際に必要な資金調達コストが上昇するため、投資が減退する。
〔解答群〕
ア ⑴:a ⑵:c
イ ⑴:a ⑵:d
ウ ⑴:b ⑵:c
エ ⑴:b ⑵:d
解説
今回は、貨幣市場と債権市場の調整過程の問題です。
貨幣供給量を増加させた場合、これが企業の設備投資や家計の住宅投資に与える影響について、2択を2回の組み合わせなっていますので、それぞれ選択問題を比較していきます。
⑴ 債券市場では、
a 超過需要が発生し、債券価格が上昇することで、利子率が低下する。
b 超過供給が発生し、債券価格が下落することで、利子率が上昇する。
それでは調整過程を追っていきます。
貨幣供給量を増加
↓
貨幣市場は超過供給になる
↓
ワルラス法則より債権市場は超過需要になる。・・・・①
↓
債権市場が超過需要になると債権価格が上昇する。・・②
↓
債権の額面あたり支払利子(一定)÷ 実質債権価格(上昇)= 利子率の低下・・・③
①②③からaとなる。
⑵ ⑴における利子率の変化により、
c 債券から貨幣への需要シフトが起こり、また投資を行う際に必要な資金調達コストが低下するため、投資が促進される。
d 貨幣から債券への需要シフトが起こり、また投資を行う際に必要な資金調達コストが上昇するため、投資が減退する。
利子率の低下
↓
企業の資金調達需要が増える(債権から貨幣へシフトする)・・・④
↓
資金が潤沢となり投資が促進される。・・・・⑤
④⑤からcとなる
以上から、正解はacの選択肢アとなります。