今日は経済学のH28第13問について解説します。
下図では、需要の価格弾力性が 1より小さい農産物の需要曲線 D が実線で描かれている。また、当該農産物の供給曲線は破線で描かれており、好天に恵まれるなどの外生的な理由によって、供給曲線が当初の S0 から S1 へシフトしたものとする。この図に関する説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 供給曲線の右へのシフトは、価格の低下による需要量の増加はあるものの、生産者の総収入を減少させる。
イ 供給曲線の右へのシフトは、価格の低下による需要量の増加を通じて、生産者の総収入を増加させる。
ウ 供給曲線の右へのシフトは、価格を低下させるものの、需要量には影響を与えない。
エ 供給曲線の右へのシフトは、価格を低下させるものの、生産者の総収入には影響を与えない。
解説
需要の価格弾力性に関する問題です。
まず、価格弾力性とは、まとめシートにご紹介のとおり、価格の変動によってある製品の需要や供給が変化する度合いを示します。設問の「需要の価格弾力性」の場合は、需要の変化率/価格の変化率の絶対値が1より大きいと「弾力性が大きい」、この設問では1より小さいと「弾力性が小さい」とされます。つまり、価格が1下落(変動)しても需要の増加(変動)は1未満というのが与件の条件です。
以上を踏まえて、市場の供給曲線D(需要曲線)に対して農産物の豊作により、S(供給曲線)がS0→S1と移動した場合に、生産者の総収入(農産物の価格×農産物の量)がどうなるか検討します。
選択肢アについて、価格が1低下しても、量は1未満しか増えませんので、S1で均衡する総収入(価格×量)はS0での均衡時に対して「1未満倍」となり減少となります。
この選択肢は○と判断できます。念のため残りの選択肢を見ていきましょう。
選択肢イ、エは、選択肢アにより×です。
選択肢ウ、は、交点の量の変化に着目すれば増加していますので×です。
以上から、正解は選択肢アとなります。