今日は財務・会計のH24第4問について解説します。
次のキャッシュ・フロー計算書に基づき、支払利息勘定の空欄 A の金額として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
キャッシュ・フロー計算書
(単位:千円)
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前当期純利益 52,100
減価償却費 78,400
退職給付引当金の増加額 8,800
貸倒引当金の増加額 400
受取利息及び受取配当金 △ 2,600
支払利息 1,100
有形固定資産売却損益(純額) 600
売上債権の増加額 △ 10,200
たな卸資産の減少額 9,500
仕入債務の増加額 1,000
小 計 139,100
利息及び配当金の受取額 3,200
利息の支払額 △ 1,000
法人税等の支払額 △10,400
営業活動によるキャッシュ・フロー 130,900
(以 下 省 略)
〔解答群〕
ア 100 千円
イ 300 千円
ウ 500 千円
エ 1,000 千円
解説
キャッシュフロー計算書から問題です。
2次試験の頻出論点なのでしっかり押さえておきましょう。
設問のキャッシュフロー計算書は、間接法で作成され営業活動のキャッシュフローのみ抜粋したものです。間接法では、損益計算書の税引前当期純利益を起点にして、実際に営業活動に現金の変動に調整していきます。この設問では、「支払利息」に関する調整について理解を問われています。
今回は、支払利息のTフォームの穴埋め問題なので、Tフォームの解説を兼ねて仕訳に分解します。
支払利息( ① )/前払利息400
支払利息( ② )/当座預金( ④ )
損益 ( ③ )/支払利息( ⑤ )
前払利息( A )/支払利息( ⑥ )
*Aは解答、①~⑥は説明のため付したもの
設問のキャッシュフロー計算書6段目の支払利息1,100は、損益計算書に計上している費用ですが、実際に払った金額とは一致しませんので、一旦足し戻しています。従って、③と⑤には1100が入ります。
次に、小計の2段下の利息の支払額△1,000は、当座預金から実際に支払った金額なので△(マイナス)になります。従って、②と④には1,000が入ります。
損益計算書への計上額1100と実際の支払額の1000差額は、前払利息の振替調整によるものです。①は、前期に計上した前払利息を今期に振替したもので貸借バランスから自動的に①400となります。
支払利息(①400 )/前払利息400
支払利息(②1,000)/当座預金(④1,000)
損益 (③1,100)/支払利息(⑤1,100)
前払利息( A )/支払利息( ⑥ )
左右の支払利息はバランスしないといけません。
①400+②1,000=⑤1,100+(⑥300)となり、自動的に前払利息(A300)となります。
以上から、正解は選択肢イとなります。