今日は財務・会計のH26第10問について解説します。
特定の資産を費用化することによる財務比率への影響に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。なお、純利益は自己資本よりも小さいものとする。
a 他の条件を一定とすると、自己資本純利益率は不変である。
b 他の条件を一定とすると、総資本純利益率は下落する。
c 他の条件を一定とすると、負債比率は上昇する。
d 他の条件を一定とすると、流動比率は上昇する。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとc
ウ bとc
エ bとd
オ cとd
解説
経営分析に関する理論問題です。
設問文にある「特定の資産を費用化」とは、固定資産やリース資産を原価償却費により費用化により減額(または負債の増加)をすることを指すと考えられます。仕訳の例は以下が考えられます。
・減価償却費(費用)/減価却費累計(負債)
・減価償却費(費用)/(リース)資産(資産)
さらに決算の結果、費用の増加により、純利益と繰越利益剰余金(自己資本)は減少します。
それでは、選択肢を見ていきましょう。
a自己資本純利益率=純利益率÷自己資本は、分子の純利益は減価償却費(費用)の増加により減少します。分母の自己資本は純利益が増えると繰越利益剰余金が減額します。分子と分母が同値で減少しても除された解は変化するので、説明の通り不変とは言えません。よって×です。
b総資本純利益率=純利益÷総資本は、から、分子の利益は費用の増加により減少します。分母の総資本は、資産の減額(もしくは負債の増額)、繰越利益剰余金減少により不変か減少をします。よって解は減少する(減価償却費<総資本なので)いずれの場合も下落します。よって〇です。
c負債比率=負債÷自己資本は、仕訳例から、分子の負債については、不変か増額します。分母の自己資本は減額します。解は必ず上昇するので、よって〇です。
d減価償却費は、流動資産に影響しないので流動比率は不変です。よって×です。
となり、正解は選択肢ウのbとcとなります。