【過去問解説(財務・会計)】R1 第14問 オプション取引

今日は財務・会計のR1第14問について解説します。

R1 財務・会計 第14問

オプションに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア オプションの価格は、オプションを行使した際の価値、すなわち本質的価値と時間的価値から成り立っている。
イ オプションの時間的価値はアット・ザ・マネーのとき、最大となる。
ウ コールオプションにおいて、原資産価格が行使価格を上回っている状態を、イン・ザ・マネーと呼ぶ。
エ 本質的価値がゼロであっても、時間的価値が正であれば、オプションを行使する価値がある。

解説

オプション取引に関する理論問題です。用語の解説は以下の通りです。

○オプション取引
来の特定の時期に、ある特定の価格で原資産(対象株価指数または対象株券)を買ったり、売ったりできる権利(買う権利=コール・オプション、売る権利=プット・オプション)を売買する取引です。

○本質的価値(ほんしつてきかち)
原資産価格と権利行使価格の差額のこと。差額がプラスであればその額が本質的価値となります。例えば、日経平均株価(日経225)が16,000円で、コール・オプションの権利行使価格が15,500円である場合、本質的価値は500円となります。一方、コール・オプションでは(株価指数-権利行使価格)がマイナスの場合、本質的価値はゼロになり、プット・オプションでは(権利行使価格-株価指数)がマイナスの場合、本質的価値はゼロになります。

○時間的価値
本質的価値とともにオプションのプレミアムを構成する要素です。例えば、日経平均株価(日経225)が15,000円の時、権利行使価格14,000円のコールのプレミアムが1,200円だとした場合、15,000円と14,000円の差額の1,000円が本質的価値で、残りの200円が時間的価値となります。時間的価値を左右するのは主に満期日までの残存日数とボラティリティです。残存日数が多いほど日経平均株価(日経225)の変動幅が大きくなる可能性が高く、そのため満期日に近づくにつれ時間的価値は減少していきます。また、ボラティリティ(予想される変動率)が高いほど時間的価値が高く、ボラティリティが低いと時間的価値は低下します。

○イン・ザ・マネー(ITM)
略称=ITM。権利行使価格と基礎商品の価格との関係において、オプション取引の買方が権利行使した時に、利益が生じる状態のことをいいます。コールオプションでは、権利行使価格が基礎商品の価格を下回る場合、プットオプションでは、権利行使価格が基礎商品の価格を上回る場合となります。

○アット・ザ・マネー(ATM)
略称=ATM。権利行使価格と基礎商品の価格との関係において、オプション取引の買方が権利行使した時に、損益が生じない状態のことをいいます。コールオプション、プットオプションとも権利行使価格と基礎商品の価格が等しい場合となります。

(出典 JPXホームページ)

それでは、選択肢を見ていきましょう。最も不適切なものを選ぶ問題です。

選択肢アは、上記説明の通り、オプションの価格は、オプションを行使した際の価値、すなわち本質的価値と時間的価値から成り立っている。よって、○と判断できます。

選択肢イは、ATMとは権利行使価格と基礎商品の価格が等しい場合であり、本質的価値はゼロです。オプション価格は時間的価値だけになり、満期日から一番遠い地点であるATM状態とすれば、時間的価値は最大になります。
よって、○と判断できます。。

選択肢ウは、上記の説明の通り、コールオプションにおいて、原資産価格が行使価格を上回っている状態を、イン・ザ・マネーと呼びます。
よって、○と判断できます。

選択肢エは、 時間的価値が正とは、主に満期日までの残存日数とボラティリティ(変動可能性)なので、本質的価値がゼロならば権利行使で利益は出ないので、オプションを行使する価値があるとは言えません。
よって、×と判断できます。

以上から、正解は選択肢エです。

 

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