【過去問解説(財務・会計)】R1 第4問 銀行勘定調整表

今日は財務・会計のR1第4問について解説します。

R1 財務・会計 第4問

決算日における当座預金勘定の残高は 960,000 円であったが、取引銀行から受け取った残高証明書の残高と一致していなかった。そこで、不一致の原因を調べたところ以下の事項が判明した。

・決算日に現金 60,000 円を当座預金口座へ預け入れたが、銀行の営業時間外のため、銀行側は翌日付の入金としていた。
・買掛金支払いのため振り出した小切手 30,000 円が、先方に未渡しであった。
・受取手形 20,000 円が取り立てられていたが、通知が未達であった。

このとき、銀行の残高証明書に記載されていた残高として、最も適切なものはどれか。
ア  890,000 円
イ  950,000 円
ウ 1,010,000 円
エ 1,070,000 円

解説

銀行勘定調整表に関する問題で日商簿記2級レベルの会計知識です。三つの訂正事項について、企業側の当座預金帳簿残高から銀行側の残高証明を類推する方法(企業残高基準法)ですが、ポイントは①企業と銀行の立場を整理する②企業の預金残高を調整する③銀行残高を類推する。という手順です。では、見ていきましょう。

ポイント①企業と銀行の立場を整理します。
・企業のスタートは当座預金勘定の残高は 960,000 円
・企業のゴールは「B/Sに記載する正しい残高」(略号☆とします)
・銀行の残高確認書の金額は、月末の最終営業日に通帳記帳する残高です。設問では「営業時間内の入金をもって〆切」となり今回の答えです。

ポイント②企業預金残高の調整です。順に追っていきましょう。
(1)時間外預け入れの処理です。銀行は翌日の入金と認識しますが、企業の処理はありません。
(2)未渡小切手の処理です。企業は反対仕訳をして当座預金勘定残高を訂正します。(当座預金30,000/買掛金30,000)
(3)銀行からの未通知の処理です。企業は仕訳を入れます。(当座預金20,000/受取手形20,000)
以上(1)~(3)により、企業の当座預金勘定残高(企業のゴール☆)は、960,000+30,000+20,000=1,010,0000☆となります。

ポイント③銀行残高を調整します。
(1)の処理では時間外の入金なので銀行は認識から除外します。よって、☆-60,000=950,000となります。
以上から、正解は選択肢イです。

 

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4件のフィードバック

  1. いつも素晴らしい解説いただきましてありがとうございます。

    正解はアではないでしょうか?
    理由
    960,000円は、仕訳 当座/現金60,000入力されているから。

    1. 首藤さま
      いつもご愛読ありがとうございます。
      ご指摘の件につきまして、回答案作成の考え方は以下の通りでございます。

      >「960,000円は、仕訳 当座/現金60,000入力されているから」
      確かに、企業側の当座預金勘定には、当座/現金(もしくは諸口)60,000と仕訳して60,000円は加算していると思われます。ただ、設問で問われているのは、「銀行側の月末残高」であります。設問には、「銀行の営業時間外のため、銀行側は翌日付の入金としていた。」とありますので、除外されると解釈を致しました。

      また、診断協会発表の正答もイとなっておりますので、概ね方向性は合っていると思います。ただ、当方銀行会計の専門家でございませんので、解釈の相違等あればご容赦ください。

  2. 首藤さま
    こちらこそ質問ありがとうございました。読者様のご意見を活かして、わかり易い解説作製を心掛けて参ります。これからも、どうぞよろしくお願い致します。

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