今日は財務・会計のR2第13問について解説します。
キャッシュ・フロー計算書に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分では、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示しなければならない。
イ 受取利息及び受取配当金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に表示しなければならない。
ウ キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物期末残高と、貸借対照表の現金及び預金の期末残高は一致するとは限らない。
エ 法人税等の支払額は、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に表示される。
解説
キャッシュフロー(以下CFと略します)計算書に関する問題です。やや難解な会計知識を求められています。
それではまず、設問の仕訳を簡単に解説してから選択肢を見ていきましょう。
それでは、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、営業CFの記載方法には直接法と間接法の二通りがありますが、直接法は設問の通り主要な取引ごとにCFを総額表示です。しかし、間接法は、損益計算書の税金等調整前当期純利益に非資金損益項目や、投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目を加減して表示する方法となります。
よって、×と判断できます。
選択肢イは、一般的な表示方法では、設問の通り受取利息及び受取配当金は「営業活動CF」、配当金の支払を「財務活動CF」とする区分1です。一方、区分2は投資活動の成果である受取利息および受取配当金を「投資活動によるCF」に記載し、資金調達コストである支払利息および支払配当金を「財務活動によるCF」に記載する考え方もあります。
これらをまとめると以下のようになります。
よって、×と判断できます。
選択肢ウは、診断士2次試験ではCF計算書の現金及び現金同等物期末残高と、貸借対照表(BS)の現金及び預金の期末残高は一致するものですが「限らない」という思わせぶりな語尾の通り違いもあります。B/Sは1年基準で流動/固定に区分されますので、1年後に満期が到来する預金も「現金及び預金」に含まれ、CF計算書における「現金及び現金同等物」はより短期間に現金化が可能なものだけで除外されます。また、B/Sでは有価証券に区分される資産であっても3か月以内に現金化が可能な短期の運用資産の場合はCF計算書では「現金及び現金同等物」に含めます。
よって、○と判断できます。
選択肢エは、法人税等の支払額は営業活動以外の財務・投資活動からも発生しますが「営業活動によるCF」に一括して表示するのが一般的です。
よって、×と判断できます。
以上から、正解は選択肢ウです。
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