【過去問解説(財務・会計)】R2 第24問 MM理論

今日は財務・会計のR2第24問について解説します。

R2財務・会計 第24問

モジリアーニとミラーの理論(MM 理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、投資家は資本市場において裁定取引を円滑に行うことができ、負債にはリスクがなく、法人税は存在しないと仮定する。
ア PER(株価収益率)は、無借金の方が負債で資金調達するよりも小さくなる。
イ 企業の最適資本構成は存在し、それによって企業価値も左右される。
ウ 企業の市場価値は、当該企業の期待収益率でキャッシュフローを資本化することによって得られ、資本構成に影響を与える。
エ 投資のための切捨率は、資金調達方法にかかわりなく、一意に決定される。

解説

MM理論とは、アメリカのフランコ・モディリアーニとマートン・ミラーが1958年に提唱した、資本構造における近代的思考の基礎、完全な市場(注)の下で企業が資金調達を行うときには、資金調達方法の組み合わせ方を変えても企業価値は変化しないという定理です。
第1命題:無関連性命題 企業の資金調達の方法と企業価値とは無関係である。(企業価値)
第2命題:企業の利益配分と企業価値とは無関係である。(株価収益)
第3命題:資本コストは資本構成には依存しない。/資金調達は株価または負債の調達方法とは無関係である。/企業の投資の切捨率は、負債未利用企業の自己資本の資本コストであり、これは資本構成とは完全に無関係に決まる。

(注)金融経済学において完全市場とは以下の条件を満たす金融市場をいう]。
・取引手数料が課せられない。
・利益に対する課税がない。
・情報は無費用で瞬時に経済主体に伝達される。
・金融資産は無限に分割可能で空売り可能である。
(Wikipediaより)

それでは、上記を参照しながら選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは、PER(株価収益率)= 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)でありますので、分母と分子に発行株式数を乗じると、時価総額÷当期純利益と解釈できます。分母の当期純利益が一定であるならば、分子の時価総額は、自己資本比率が下げれば低下しますので、PERは低下することになります。つまり、負債で資金調達した方が無借金より低くなるので設問とは反対です。
よって、×と判断できます。

選択肢イは、企業の資本構成と企業価値については、第1命題の通り無関係です。
よって、×と判断できます。。

選択肢ウは、MM理論において設問にある「負債にはリスクがなく、法人税は存在しないと仮定する」条件下では、資本構成(負債と自己資本の割合)が変わっても企業価値が変化しません。
よって、×と判断できます。

選択肢エは、切捨率とは、 企業が新規投資を行うとき,その投資があげなければならない最低限の利益率のことです。第三命題のことと解釈され正解と考えられます。難解な理論ですが、解答戦術としては、NPVなどで投資試算を行う場合には、資金調達方法ではなく金利だけを考慮して最低限の目標利益を計算する・・・と理解できなくもありません。
よって、○と判断できます。

以上から、正解は選択肢エです。

 

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