【過去問解説(企業経営)】R3 第6問 競争戦略(5F分析)

今日は企業経営のR3第6問について解説します。

R3 企業経営 第6問

X社は全社的な成長に向けて、新たな業界に参入して、新規事業を展開することを計画している。参入先の候補として考えられているのは、AからEの 5 つの業界である。社内で検討したところ、各業界の重要な特性として、次のような報告がプロジェクトチームから上がってきた。なお、X社では、いずれの業界においても、各業界における既存の取引関係を用いるとともに、製品・サービスの質とコストに関して既存企業と同様の条件で参入することを想定している。

A業界:この業界には、既に 5 社が参入している。主要な原材料は老舗のF社から5 社に対して安定的に供給されている。A業界の製品は規模が類似した代理店 5 社を通じて販売されている。
B業界:この業界では、 4 社が事業を展開している。G社が主要な原材料に関する特許を保有しているために、これら 4 社は、原材料をG社から購入する契約を結んでいる。これら 4 社の製品は、H社が全量購入している。
C業界:この業界には、既に 4 社が参入している。主要な原材料は 5 社から購入できるが、生産工程での安定性を考えると、その 1 つであるK社の原材料が優れているために、K社の販売数量は他の 4 社の合計よりも多い。C業界の製品の販売を委託する企業は 5 社存在するが、その中でもL社が強い営業力を有し、他の 4 社を圧倒した市場シェアを獲得しており、ガリバー的な存在である。
D業界:この業界では、 6 社が事業を営んでいる。D業界の製品は技術革新により年々性能が向上しているが、その性能向上は、主要な原料を供給するM社の技術革新を源泉としているために、全量をM社から調達している。D業界の製品は特殊なサポートが必要であることから、そのサポート体制を有するN社を通じて全量が販売されている。
E業界:この業界には、既に 2 社が参入している。原材料の汎用性は高く、コストと品質で同等の水準となる供給業者が 10 社存在している。顧客は 5 つの業界であり、いずれの業界でも、規模が類似した 10 社以上が事業を展開している。

以上に記された情報に基づいて、各業界での競争状況、供給業者の交渉力、買い手の交渉力を業界構造として総合的に考えた場合に、X社が参入する業界として、最も高い収益性(売上高に対する利益率)が期待されるものはどれか。
ア A業界
イ B業界
ウ C業界
エ D業界
オ E業界

解説

問題文は長いですが、どの論点について聞かれているかをイメージしながら読み進めていきましょう。
今回は、競争戦略の論点から、ポーターの5F分析についての出題です。

まとめシートでは、以下の通り図解しております。

選択肢ア:A業界は売り手が1社に限られているため、売り手が強くなるためX社は不利になります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:B業界は売り手も買い手も1社に限られているため、X社は不利になります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:C業界では、売り手、買い手それぞれのうちの1社が特に優れており、実質その会社のパワーが強いため、X社は不利になります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:D業界では売り手は1社に依存しており、またその会社を強力にサポートする買い手は1社独占のため、X社は不利になります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢オ:X社の競合となる既存の業者が2社と多くないため、既存企業同士の競争はさほど厳しくないとみられます。また、売り手も買い手も複数の企業が存在するため、売り手や買い手の交渉力も他選択肢より高くないです。
よって、この選択肢は〇です。

以上から、正解は選択肢オとなります。

 

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