今日は、平成29年度 第27問について解説します。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① ガイドラインによれば、貸主と借主が賃貸借契約時に原状回復工事施工目安単価を明記して、原状回復条件をあらかじめ合意した場合、退去時にこの単価を変更することはできない。
② ガイドラインによれば、クリーニングについては経過年数を考慮して費用に差をつけることはしない。
③ ガイドラインによれば、鍵は退去時に交換されるものであるから、借主が鍵を紛失した場合であっても借主に負担させるべきではない。
④ ガイドラインによれば、壁等のクロスは、㎡単位で張替え費用を借主に負担させるべきであり、毀損箇所を含む一面分を借主に負担させることはできない。
解説
原状回復ガイドラインに関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
ガイドラインによれば、貸主と借主が賃貸借契約時に原状回復工事施工目安単価を明記して、原状回復条件をあらかじめ合意した場合、退去時にこの単価を変更することはできない。
×不適切です
貸主・借主の双方が原状回復条件について事前に合意しておくことが必要であることから、ガイドラインでは、賃貸借契約書に添付する原状回復の条件に関する様式が示されており、原状回復費用の見積もりや精算の際の参考とするための原状回復の精算明細等に関する様式も示されています。
ただし、原状回復条件をあらかじめ合意し、賃貸借契約時に原状回復工事施工目安単価を明記した場合であっても、あくまでも目安であり、退去時における単価の変更や施工方法の変動などによって変更となる場合があります。
つまり、ガイドラインによれば、貸主と借主が賃貸借契約時に原状回復工事施工目安単価を明記して、原状回復条件をあらかじめ合意した場合であっても、退去時にこの単価が変更することがあります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
ガイドラインによれば、クリーニングについては経過年数を考慮して費用に差をつけることはしない。
〇適切です。
クリーニングについては、各部位や設備の耐用年数を考慮する必要はなく、ガイドラインによれば、クリーニングについて経過年数を考慮して費用に差をつけるとはしていません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
ガイドラインによれば、鍵は退去時に交換されるものであるから、借主が鍵を紛失した場合であっても借主に負担させるべきではない。
×不適切です
破損や紛失がない場合に鍵の取替えを行うのは、物件管理上必要となるため行われるものであり、貸主の負担となりますが、借主が鍵を紛失・破損したことにより鍵の取替えが必要となる場合は、借主の負担となります。
つまり、ガイドラインによれば、借主が鍵を紛失した場合に鍵の取替えが必要となる場合は、借主が負担するものとされています。よってこの選択肢は適切です。
選択肢 ④
ガイドラインによれば、壁等のクロスは、㎡単位で張替え費用を借主に負担させるべきであり、毀損箇所を含む一面分を借主に負担させることはできない。
×不適切です
クロスについての借主の負担割合は、㎡単位が望ましいですが、毀損させた箇所を含む1面分までは借主の負担とすることができます。
つまり、ガイドラインによれば、壁等のクロスは、㎡単位で張替え費用を借主負担とすることが望ましいですが、毀損箇所を含む一面分までは借主に負担させることができます。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
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