今日は、令和1年度 第38問について解説します。
賃貸不動産経営管理士「倫理憲章」に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
① 公正と中立性の保持に関しては、自己の所属する管理業者の直接の依頼者に対し、他の関係者の立場に十分配慮した対応を求めることも必要となる場合がある。
② 信義誠実の義務に関しては、自己の所属する管理業者の直接の依頼者に対してはもちろんのこと、他の関係者に対しても、同様に、信義に従い、誠実に対応することが必要である。
③ 法令の遵守と信用保持に関しては、賃貸不動産管理業界全体の社会的信用より自己の所属する管理業者の信用獲得を優先し、自己の所属する管理業者に対する社会的信用を傷つける行為や社会通念上好ましくないと思われる行為を特に慎むべきである。
④ 秘密を守る義務に関しては、自己の所属する管理業者を退職して、当該賃貸不動産の管理に携わらなくなった後も、引き続き負うべきものである。
解説
賃貸不動産経営管理士「倫理憲章」に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
公正と中立性の保持に関しては、自己の所属する管理業者の直接の依頼者に対し、他の関係者の立場に十分配慮した対応を求めることも必要となる場合がある。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士のもつ公共的使命を常に自覚し、公正な業務を通して、公共の福祉に貢献することとされています。
賃貸不動産経営管理士には、特定の関係者の利益のためだけに業務を行うのではなく、公正中立な立場で、社会全体の利益に還元されるべき責任のある対応が求められます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
信義誠実の義務に関しては、自己の所属する管理業者の直接の依頼者に対してはもちろんのこと、他の関係者に対しても、同様に、信義に従い、誠実に対応することが必要である。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士は、信義に従い誠実に職務を執行することを旨とし、依頼者等に対し重要な事項について故意に告げず、または不実のことを告げる行為を決して行わないこととされています。
選択肢の説明のとおり、依頼者に対してのみならず他の関係者等に対しても、信義に従い、誠実に対応することが必要ですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
法令の遵守と信用保持に関しては、賃貸不動産管理業界全体の社会的信用より自己の所属する管理業者の信用獲得を優先し、自己の所属する管理業者に対する社会的信用を傷つける行為や社会通念上好ましくないと思われる行為を特に慎むべきである。
×不適切です
賃貸不動産経営管理士は関係する法令とルールを遵守し、賃貸不動産管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為、および社会通念上好ましくないと思われる行為を厳に慎むこととされています。
つまり、法令の遵守と信用保持に関しては、賃貸不動産管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為や社会通念上好ましくないと思われる行為を特に慎むべきとされています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
秘密を守る義務に関しては、自己の所属する管理業者を退職して、当該賃貸不動産の管理に携わらなくなった後も、引き続き負うべきものである。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士は、職務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしてはならなず、その職務に携わらなくなった後も同様とされています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
