今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第32問について解説します。
ガイドラインの考え方を前提とした場合、原状回復に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア ハウスクリーニング費用は、借主が通常の清掃を実施していないために必要となった場合であっても、貸主の負担である。
イ 鍵交換費用は、借主が鍵を紛失した場合であっても、貸主の負担である。
ウ ペット飼育に伴う部屋の毀損を補修する費用は、無断飼育の場合を除き、貸主の負担である。
エ 借主の同居人による部屋の毀損を補修する費用は、借主自身に故意過失がない場合、貸主の負担である。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
解説
「原状回復ガイドライン」に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
ハウスクリーニング費用は、借主が通常の清掃を実施していないために必要となった場合であっても、貸主の負担である。
×不適切です。
専門業者によるハウスクリーニングは、貸主が負担するものとされています。一方で、通常の清掃を実施していない場合や、タバコによる臭いや変色がある場合には、借主の負担となります。
つまり、ハウスクリーニング費用は、借主が通常の清掃を実施していないために必要となった場合であれば、借主の負担となります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
鍵交換費用は、借主が鍵を紛失した場合であっても、貸主の負担である。
×不適切です。
鍵を紛失した場合、シリンダーの交換費用は全額借主の負担となります。
つまり、鍵交換費用は、借主が鍵を紛失した場合であれば、借主の負担となります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
ペット飼育に伴う部屋の毀損を補修する費用は、無断飼育の場合を除き、貸主の負担である。
×不適切です。
共同住宅におけるペット飼育は、一般的とまでは言えず、ペットにより柱、クロス等にキズや臭いが付いたなどの毀損を生じさせた場合は、借主が負担するものと考えられています。なお無断飼育だった場合は、用法遵守義務違反に該当します。
つまり、ペット飼育に伴う部屋の毀損を補修する費用は、無断飼育か否かにかかわらず、借主の負担となります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 エ
借主の同居人による部屋の毀損を補修する費用は、借主自身に故意過失がない場合、貸主の負担である。
×不適切です。
借主の同居人は、借主の履行補助者とされますので、同居人に過失があった場合、部屋の毀損を補修する費用は借主負担となります。
つまり、借主の同居人による部屋の毀損を補修する費用は、借主の負担である。(同居人は借主の履行補助者です。)よってこの選択肢は不適切です。
以上から、誤っている選択肢はア、イ、ウ、エの4つ全部ですので、正解は選択肢④となります。
原状回復ガイドラインに関する問題は例年複数問出題されています。
また、適切(または不適切)なものの個数を問うものはR4年、R5年試験において連続で出題されています。
ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。
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