今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第33問について解説します。
管理業者による個人情報の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 借主から新型コロナウイルスに感染したとの連絡を受けて、速やかに貸主及び他の借主に対して、感染した借主を特定して告知した。
② 警察官を名乗る者からの電話による特定の借主の契約内容に関する問い合わせに対し、直ちには回答せず、捜査関係事項照会書により照会するよう求めた。
③ 入居の申込に際し、人種の記載は要配慮個人情報として取り扱わねばならない。
④ 締結済の賃貸借契約書を普通郵便で貸主に送付した。
解説
個人情報の取扱いに関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
借主から新型コロナウイルスに感染したとの連絡を受けて、速やかに貸主及び他の借主に対して、感染した借主を特定して告知した。
×不適切です。
病歴に関する情報は「要配慮個人情報」に該当します。
要配慮個人情報とは、不当な差別や偏見、その他の不利益が生じないよう、取扱いに特に配慮を要するものとされる個人情報をいいます。(人種、信条、病歴、社会的身分、犯罪の経歴、犯罪により被害を受けた事実など)
要配慮個人情報を取得する場合や第三者に提供する場合には本人の同意が必要であり、「特定して告知する」行為は個人情報保護法の観点からも不適切です。
つまり、借主から新型コロナウイルスに感染したとの連絡を受けて、速やかに貸主及び他の借主に対して、感染した借主を特定して告知する行為は不適切な行為といえます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
警察官を名乗る者からの電話による特定の借主の契約内容に関する問い合わせに対し、直ちには回答せず、捜査関係事項照会書により照会するよう求めた。
〇適切です。
警察官を名乗る者から電話で問い合わせがあっても、本当に警察官であるか確認ができないため、安易に情報提供してはいけません。
捜査関係事項照会書など、公的な手続きによる照会に対してのみ回答する行為は正しい対応といえます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
入居の申込に際し、人種の記載は要配慮個人情報として取り扱わねばならない。
〇適切です。
人種は、「要配慮個人情報」です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
締結済の賃貸借契約書を普通郵便で貸主に送付した。
〇適切です。
普通郵便で契約書を送ること自体は違法ではありませんので、この選択肢は適切です。
なお、実務上は簡易書留など、配達記録を残す方法をとるとより確実でしょう。
以上から、正解は選択肢①となります。
