今日は、令和5年度 第49問について解説します。
不動産の税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 事務所・店舗などの賃料は消費税の課税売上であるが、住宅の貸付け(貸付期間が1か月未満のものを除く)による賃料は非課税売上である。
② 所得税や住民税を支払った場合、これらの税金は不動産所得の計算上、必要経費に含めることができる。
③ 土地の固定資産税については、住宅(賃貸用も含む。)を建てることにより軽減される措置が設けられている。
④ 消費税に関して免税事業者が課税事業者(適格請求書発行事業者)になった場合には、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間においては、納付税額を課税標準額に対する消費税額の2割とすることができる。
解説
不動産経営と税金に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
事務所・店舗などの賃料は消費税の課税売上であるが、住宅の貸付け(貸付期間が1か月未満のものを除く)による賃料は非課税売上である。
〇適切です。
不動産取引では、すべてが消費税の対象となるわけではなく、課税取引と非課税取引に分かれます。
事務所や店舗などの賃料は課税される取引であり、住宅の貸付による賃料は非課税取引です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
所得税や住民税を支払った場合、これらの税金は不動産所得の計算上、必要経費に含めることができる。
×不適切です
所得税と住民税については、必要経費として認められません。
つまり、所得税や住民税を支払った場合、これらの税金は不動産所得の計算上、必要経費に含めることができません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
土地の固定資産税については、住宅(賃貸用も含む。)を建てることにより軽減される措置が設けられている。
〇適切です。
固定資産税・都市計画税には、さまざまな軽減措置が設けられています。
固定資産税・都市計画税の税額は、課税標準額に一定の税率を乗じて計算されますが、住宅(賃貸用を含む)を建てることにより、課税標準に特例措置が適用され、更地のまま所有している場合と比べて税額が軽減されます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
消費税に関して免税事業者が課税事業者(適格請求書発行事業者)になった場合には、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間においては、納付税額を課税標準額に対する消費税額の2割とすることができる。
〇適切です。
令和5年10月1日からインボイス(適格請求書等保存方式)制度が開始され、課税事業者が仕入れにかかる消費税額を控除するためには、交付を受けたインボイスを保存する必要があります。
なお、免税事業者からの課税仕入れについては、仕入れ額控除の適用を受けることができませんが、一定の経過措置が設けられています。
また、選択肢の説明の通り、免税事業者が課税事業者(適格請求書発行事業者)になった場合には、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間においては、納付税額を課税標準額に対する消費税額の2割とすることができる経過措置が設けられていますので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
本問は、令和5年度の本試験時において「出題範囲逸脱」として、全員正解の扱いとなりました。
しかし、令和7年度版の公式テキストには本問に関連する記述が掲載されているため、今後出題される可能性があります。
これまで当ブログでは取り上げていませんでしたが、出題の可能性をふまえ、あらためて本問の内容を解説しました。
ぜひこの機会に理解を深めていただければと思います。
