今日は、令和7年度 第7問について解説します。
賃貸借契約の当事者の死亡に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に支払期限が到来していた未払賃料債権は、相続の発生により、遺産分割を経ることなく、各相続人の持分に応じて分割されて帰属する。
② 賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に発生した敷金返還債務は不可分債務となり、各相続人がそれぞれ賃借人に対して全額の返還債務を負担する。
③ 居住を目的とする建物賃貸借契約の賃借人が相続人なしに死亡した場合、その当時、婚姻又は縁組の届出をしていないものの、賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者は、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思表示をしない限り、建物の賃借人の権利義務を承継する。
④ 公営住宅の使用者が死亡した場合、使用者に相続人がいても、その相続人は、当然に使用権を相続により承継するわけではない。
解説
賃貸借契約当事者の死亡に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に支払期限が到来していた未払賃料債権は、相続の発生により、遺産分割を経ることなく、各相続人の持分に応じて分割されて帰属する。
〇適切です。
被相続人の死亡前に生じていた賃料は、金銭債権として相続財産となります。
相続人が複数人いる場合は、各々の相続分に応じて権利を承継しますので、遺産分割を経ることなく、各相続人の持分に応じて分割されて帰属することになります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に発生した敷金返還債務は不可分債務となり、各相続人がそれぞれ賃借人に対して全額の返還債務を負担する。
×不適切です
被相続人の死亡前に生じていた敷金返還債務は、金銭債務として相続人が承継します。
相続人が複数人いる場合の金銭債務などの可分債務は、法定相続分に従って分割されて各相続人に帰属します。
つまり、賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に発生した敷金返還債務は可分債務となり、法定相続分に従って分割されて各相続人に帰属します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
居住を目的とする建物賃貸借契約の賃借人が相続人なしに死亡した場合、その当時、婚姻又は縁組の届出をしていないものの、賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者は、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思表示をしない限り、建物の賃借人の権利義務を承継する。
〇適切です。
借主が事実上の夫婦・養親子と同居していた場合、これらの者は相続人とはなりませんが、
借主に相続人がいない場合には、賃借権を承継するものとされています。
ただし、同居人が承継を望まないことも想定されるため、同居者が相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思表示をしたときは、借主の権利義務を承継しないものとしています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
公営住宅の使用者が死亡した場合、使用者に相続人がいても、その相続人は、当然に使用権を相続により承継するわけではない。
〇適切です。
賃貸住宅が公営住宅である場合、使用者に相続人がいても当然に使用権を承継するということにはなりません。
公営住宅は、住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で提供されるものであるため、原則として相続承継は認められず、同居者が引き続き使用するためには、事業主体の承認を得る必要があります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
