今日は、平成27年度 第19問について解説します。

平成27年度賃貸不動産経営管理士試験 第19問(一部改題)

賃賃貸借契約の更新に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①  賃貸借契約を合意更新する場合、当事者間に特別の約束がない限り、契約終了前6ヵ月時点での通知等の特別の手続は不要であり、契約期間満了までの間に当事者間で協議し、契約条件を定めて合意すればよい。

②  賃貸借契約書に更新料条項がなくても、借主(消費者)が口頭で更新料の支払を了解した場合には、更新料の額が高額に過ぎる等の特段の事情のない限り、当該合意は消費者契約法第10条に違反するものではないから、貸主は更新料を請求することができる。

③  建物賃貸借契約が法定更新されると、期間の定めのない賃貸借契約となるため、法定更新以降、当事者間で別途、契約期間の定めをしない限り、契約の更新は生じなくなる。

④  賃貸住宅管理業者は、更新事務を行うにあたり、借主に対して更新後の期間や賃料の額、支払時期および方法などを記載した書面を賃貸住宅管理業法上は交付する必要はない。

 

 

解説

賃貸借契約の更新に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

賃貸借契約を合意更新する場合、当事者間に特別の約束がない限り、契約終了前6ヵ月時点での通知等の特別の手続は不要であり、契約期間満了までの間に当事者間で協議し、契約条件を定めて合意すればよい。

 

〇適切です。

合意更新とは、貸主と借主が更新について合意することで契約を継続する更新方法です。
更新期間に法的な制限はなく、契約期間満了までの間に当事者間で協議し、契約条件を定めて合意すればよいものとされています。

また、契約期間満了前に通知をするなどの特別な手続きをする必要はなく、書面によらず口頭の合意でも効力が認められます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

賃貸借契約書に更新料条項がなくても、借主(消費者)が口頭で更新料の支払を了解した場合には、更新料の額が高額に過ぎる等の特段の事情のない限り、当該合意は消費者契約法第10条に違反するものではないから、貸主は更新料を請求することができる

 

×不適切です

更新料とは、契約更新時に借主が貸主に支払う金銭であり、契約に更新料を支払う旨の特約がない限り、支払い義務は生じません。

更新料特約については、契約書に明確で具体的に記載されていれば、更新料の額が賃料や更新期間との関係に照らして著しく高額であるなどの特段の事情がない限り、有効とされています。
なお、借主が消費者であることを前提に、消費者契約法の規定により、借主の利益を一方的に害するものと判断される場合には、不当な契約条項として無効となる可能性があります。

つまり、賃貸借契約書に更新料条項がなくて、借主(消費者)が口頭で更新料の支払を了解した場合には、貸主は更新料を請求することができない場合があります(更新料を請求するためには、更新料特約を契約書に明確で具体的に記載する必要があります)。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

建物賃貸借契約が法定更新されると、期間の定めのない賃貸借契約となるため、法定更新以降、当事者間で別途、契約期間の定めをしない限り、契約の更新は生じなくなる。

 

〇適切です。

法定更新とは、期間の定めのある建物賃貸借契約において、契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に、貸主・借主いずれからも更新拒絶等の通知等が行われなかった場合に、借地借家法の規定に基づいて自動的に更新されたものとみなされる制度です。

法定更新された契約では、契約条件は従前と同じとされますが、契約期間については期間の定めのない契約として扱われます。

選択肢の説明の通り、建物賃貸借契約が法定更新されると、法定更新以降、当事者間で別途、契約期間の定めをしない限りは契約の更新のない(期間の定めがない)賃貸借契約となりますので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

賃貸住宅管理業者は、更新事務を行うにあたり、借主に対して更新後の期間や賃料の額、支払時期および方法などを記載した書面を賃貸住宅管理業法上は交付する必要はない。

 

〇適切です。

実務上、更新に関する書面を交付することが一般的ですが、賃貸住宅管理業法では、契約更新時については特段の書面交付は課されていません。

選択肢の説明の通り、賃貸住宅管理業法上、借主に対して更新後の期間や賃料の額、支払時期および方法などを記載した書面を交付する必要はありませんので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢②となります。

 

※賃貸住宅管理業法の制定に伴い、選択肢④を改題しております。
本試験での出題「選択肢④:賃貸住宅管理業者登録制度では、賃貸住宅管理業者は、更新事務を行うにあたり、借主に対し、更新後の期間、更新後の賃料の額、支払時期、及び方法等を記載した書面を交付しなければならない。」

「賃貸住宅管理業者登録制度」は、賃貸住宅管理業法が制定される前の旧制度です。
本ブログでは、現行法である賃貸住宅管理業法として改題のうえで解説しています。

 

 

2025年度版 一発合格まとめシート おかげさまで好評販売中!

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA