今日は、平成28年度 第13問について解説します。

平成28年度賃貸不動産経営管理士試験 第13問(一部改題)

借地借家法の適用のある建物賃貸借契約の特約の有効性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①  賃貸借契約の締結と同時に設定される「期間満了時に賃貸借が解約される」旨の特約は無効である。

②  法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面または電磁的記録により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めても、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていない限り、その特約は無効である。

③  借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権を排除する旨の特約は有効である。

④  更新について合意が成立しない場合には、賃貸借契約が期間満了と同時に当然終了する旨の特約は無効である。

 

 

解説

建物賃貸借契約の特約の有効性に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

賃貸借契約の締結と同時に設定される「期間満了時に賃貸借が解約される」旨の特約は無効である。

 

〇適切です。

定期建物賃貸借契約以外の賃貸借契約の締結時に設定される場合の、「期間満了時に解約する」といった内容の特約は、借地借家法の強行規定に反するため無効となります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面または電磁的記録により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めても、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていない限り、その特約は無効である

 

×不適切です

法令や契約により、一定期間経過後に建物を取り壊すことが明らかな場合、建物の取壊し時に賃貸借契約を終了させる旨の特約を設けることができます。

賃貸借契約そのものは書面でなくても成立しますが、この特約については書面または電磁的記録での合意が必要であり、取り壊す事由の記載も求められます。

つまり、法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面または電磁的記録により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を有効に定めることができます(定期建物賃貸借契約の要件を満たす必要があるという規定はありません)

 


選択肢 ③

借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権を排除する旨の特約は有効である。

 

〇適切です。

造作(ぞうさく)とは、建物に付加されたもので、賃借人の所有に属し、かつ建物の使用価値を増加させるものをいいます。

造作が貸主の承諾を得て取り付けられた場合、借主は賃貸借契約の終了時に、貸主に対してその造作を時価で買い取るよう請求することができます(造作買取請求権)。

造作買取請求権は、契約において特約で排除・制限することも可能です。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

更新について合意が成立しない場合には、賃貸借契約が期間満了と同時に当然終了する旨の特約は無効である。

 

〇適切です。

期間の定めがある賃貸借契約について、期間満了で賃貸借契約を終了する場合には、当事者は期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知をする必要があります。(借地借家法第26条)

期間満了時と同時に当然終了する旨の特約は、この規定に反していて、借主にとって不利な内容となりますので、無効となります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢②となります。

 

※借地借家法の改正に伴い、選択肢②を改題しております。(「電磁的記録」の表現を加えるなどの一部改題を行っております。)
本試験での出題「選択肢②:法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めても、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていない限り、その特約は無効である。」

 

 

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