今日は、平成28年度 第17問について解説します。
賃貸借契約と使用貸借契約との異同に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 貸主が死亡した場合、使用貸借契約は終了するが、賃貸借契約は終了しない。
② 使用貸借契約の終了に当たっては、賃貸借契約の終了時に必要とされることがある正当事由は必要とされない。
③ 使用貸借契約の対象建物が売却された場合、賃貸借契約と異なり、借主は当該建物の買主に対して使用貸借契約を対抗することができない。
④ 使用貸借契約の借主は、賃貸借契約の借主と異なり、対象建物の通常の必要費を負担する。
解説
建物賃貸借契約と使用貸借契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
貸主が死亡した場合、使用貸借契約は終了するが、賃貸借契約は終了しない。
×不適切です
貸主が死亡した場合には、使用貸借契約であっても賃貸借契約であっても、契約は終了せず、貸主の地位は相続人に承継されて契約は継続されます。
つまり、貸主が死亡した場合、使用貸借契約も賃貸借契約も終了しません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
使用貸借契約の終了に当たっては、賃貸借契約の終了時に必要とされることがある正当事由は必要とされない。
〇適切です。
使用貸借契約には、借地借家法の規定は適用されません。
そのため、借地借家法において、期間満了によって契約を終了させるときや解約申し入れをする際に必要とされる正当事由は、使用貸借契約には不要です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
使用貸借契約の対象建物が売却された場合、賃貸借契約と異なり、借主は当該建物の買主に対して使用貸借契約を対抗することができない。
〇適切です。
使用貸借の目的物である建物が売却されるなどして第三者に譲渡された場合、借主は新たな所有者に対して使用貸借契約を主張することはできません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
使用貸借契約の借主は、賃貸借契約の借主と異なり、対象建物の通常の必要費を負担する。
〇適切です。
使用貸借では、建物の通常の必要費は借主が負担すべきものとされているため、貸主に対してその償還を請求することはできません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢①となります。
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