今日は、平成28年度 第18問について解説します。
書面による法律行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 定期建物賃貸借契約の締結は、書面または電磁的記録によって行わなければ効力が生じない。
② 一時使用目的の建物の賃貸借契約の締結は、書面によらなくても効力が生じる。
③ 賃貸借契約の解除は、書面によって行わなければ効力が生じない。
④ 高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく終身建物賃貸借契約の締結は、書面または電磁的記録によって行わなければ効力が生じない。
解説
特別の賃貸借契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
定期建物賃貸借契約の締結は、書面または電磁的記録によって行わなければ効力が生じない。
〇適切です。
定期建物賃貸借は書面によって契約を締結しなければその効力を生じず、書面によらない場合には普通建物賃貸借契約として扱われます。
なお、書面は必ずしも公正証書である必要はなく、電磁的記録による締結も認められています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
一時使用目的の建物の賃貸借契約の締結は、書面によらなくても効力が生じる。
〇適切です。
建物の増改築のための仮住居・仮店舗など、一時使用のための賃貸借であることが明らかな場合には、借地借家法は適用されません。
この場合、書面や電磁的記録によらずに締結しても効力が認められます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
賃貸借契約の解除は、書面によって行わなければ効力が生じない。
×不適切です
解除の意思表示の方法には法律上の制限はなく、口頭でも有効とされます。
つまり、賃貸借契約の解除は、書面性は求められませんので、口頭で意思表示しても有効です。よってこの選択肢は不適切です。
ただし、後日の証拠とするため、実務上は内容証明郵便などによる書面で行うことが一般的です。
選択肢 ④
高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく終身建物賃貸借契約の締結は、書面または電磁的記録によって行わなければ効力が生じない。
〇適切です。
高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に基づく終身建物賃貸借契約は、書面または電磁的記録により締結する必要があります。
公正証書である必要はありませんが、契約の方式として書面性が求められています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
※法改正に伴い、選択肢①および④を改題しております。(「電磁的記録」の表現を加えるなどの一部改題を行っております。)