今日は、平成29年度 第20問について解説します。
賃貸借契約の更新に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、有効である。
② 賃貸借契約の借主が、期間満了後に建物の使用を継続する場合において、貸主が遅滞なく異議を述べなかったとしても、貸主が期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に借主に対して更新をしない旨の通知をしていた場合には、更新拒絶に正当事由が認められる限り、賃貸借契約は期間満了により終了する。
③ 賃貸借契約が法定更新された場合、当事者間で別途、契約期間の定めをしない限り、期間の定めのない賃貸借になる。
④ 建物が存しない駐車場として使用する目的の土地の賃貸借契約において貸主が更新を拒絶するためには、正当事由は不要である。
解説
賃貸借契約の更新に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、有効である。
〇適切です。
更新料特約については、契約書に明確(一義的)で具体的に記載されていれば、更新料の額が賃料や更新期間との関係に照らして著しく高額であるなどの特段の事情がない限り、有効とされています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
賃貸借契約の借主が、期間満了後に建物の使用を継続する場合において、貸主が遅滞なく異議を述べなかったとしても、貸主が期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に借主に対して更新をしない旨の通知をしていた場合には、更新拒絶に正当事由が認められる限り、賃貸借契約は期間満了により終了する。
×不適切です
期間の定めのある建物賃貸借契約において、契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に、貸主・借主いずれからも更新拒絶等の通知等が行われなかった場合、法定更新されます。
また、更新拒絶等の通知をした場合でも、契約満了後に借主が建物の使用を継続し、貸主がこれに対して遅滞なく異議を述べなかった場合には、契約は更新されたものとみなされます。
つまり、賃貸借契約の借主が、期間満了後に建物の使用を継続する場合において、貸主が遅滞なく異議を述べなかった場合には、貸主が期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に借主に対して更新をしない旨の通知をしていたとしても、賃貸借契約は法定更新されます(期間満了により終了しません)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
賃貸借契約が法定更新された場合、当事者間で別途、契約期間の定めをしない限り、期間の定めのない賃貸借になる。
〇適切です。
法定更新された契約では、契約条件は従前と同じとされますが、契約期間については期間の定めのない契約として扱われます。
選択肢の説明の通り、賃貸借契約が法定更新された場合、当事者間で別途、契約期間の定めをしない限り、期間の定めのない賃貸借になりますので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
建物が存しない駐車場として使用する目的の土地の賃貸借契約において貸主が更新を拒絶するためには、正当事由は不要である。
〇適切です。
建物が存しない駐車場として使用する目的の土地は、借地借家法の適用がありません。(借地借家法が適用されるのは、建物および建物所有目的の土地の賃貸借契約です。)
そのため、借地借家法において、期間満了によって契約を終了させるときや解約申し入れをする際に必要とされる正当事由は、駐車場の賃貸借契約には不要です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。
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