今日は、平成30年度 第11問について解説します。
入居審査に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 申込みを行っている者が入居申込書面の申込者と同一であるかどうかを確認しなければならない。
② 入居審査に当たり収集した個人情報は、個人情報の保護に関する法律上、利用目的を特定しなくても自由に活用できる。
③ 借受希望者の職業・年齢・家族構成・年収が申込物件に妥当かどうか検討することは、差別的な審査であるため、することができない。
④ サブリース方式による賃貸住宅の管理業者は、入居者の最終決定権者にならない。
解説
入居審査に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
申込みを行っている者が入居申込書面の申込者と同一であるかどうかを確認しなければならない。
〇適切です。
なりすましによる申込みを防ぐため、入居申込書と実際の申込者が一致しているか確認する必要があります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
入居審査に当たり収集した個人情報は、個人情報の保護に関する法律上、利用目的を特定しなくても自由に活用できる。
×不適切です。
個人情報保護法上、個人情報を取り扱うにあたって、利用目的をできる限り具体的に特定しなければならないという利用目的の特定義務があります。
つまり、入居審査に当たり収集した個人情報は、個人情報の保護に関する法律上、利用目的をできる限り具体的に特定しなければならないという利用目的の特定義務があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
借受希望者の職業・年齢・家族構成・年収が申込物件に妥当かどうか検討することは、差別的な審査であるため、することができない。
×不適切です。
賃貸住宅の募集や入居審査の場面では、差別的な取扱いが問題となることがあるため、基本的人権を尊重した対応を徹底するとともに、高齢者住まい法、障害者差別解消法、LGBT理解増進法などの関連法律を理解し、差別的な扱いを行わないよう十分に留意する必要があります。
一方で、支払能力や契約・居住ルールの遵守見込み、世帯人数と住戸規模の適合性などを確認することは、リスク管理上の合理的理由に基づく審査であり、むしろ必要です。
つまり、借受希望者の職業・年齢・家族構成・年収が申込物件に妥当かどうか検討することは、合理的な理由に基づく審査といえるので、実務上も行われます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
サブリース方式による賃貸住宅の管理業者は、入居者の最終決定権者にならない。
×不適切です。※注意が必要な選択肢です
サブリース方式とは、サブリース業者が賃貸住宅のオーナー(貸主)との間で賃貸借契約を締結し、住宅を借り受けたうえで、借主に転貸する方式です。
サブリース方式の場合、サブリース業者が転貸人として契約の当事者となりますので、入居者(借主)の最終決定権を持ちます。
つまり、サブリース方式による賃貸住宅の管理業者(管理業務も兼ねているサブリース業者の場合)は、入居者の最終決定権者になりますので、この選択肢は不適切です。
一方で、転貸人とは別に管理業務のみを受託する管理会社が関与しているケースでは、最終決定権は転貸人側(サブリース業者)にあり、この場合の管理業者は最終決定は行いません。
「管理業者」という用語が広く使われるため混同しやすい点が、この肢の注意ポイントです。
以上から、正解は選択肢①となります。
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