今日は、平成30年度 第14問について解説します。
賃貸借契約の保証に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 連帯保証においては、附従性が否定されるため、連帯保証人は、借主が負担する債務よりも重い保証債務を負担する。
イ 保証人は、賃貸物件の明渡義務を直接負うわけではないので、借主が賃貸借契約の解除後に明渡しを遅滞したことによって生じた賃料相当損害金については保証債務を負わない。
ウ 賃貸借契約の更新の際、特段の事情のない限り、保証人は更新後の保証債務を負う。
エ 法人が保証人となる場合であっても、書面または電磁的記録によらない保証契約は無効である。
1 ア、イ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 ウ、エ
解説
保証に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ア
連帯保証においては、附従性が否定されるため、連帯保証人は、借主が負担する債務よりも重い保証債務を負担する。
×不適切です
保証債務には、附従性(ふじゅうせい)・随伴性(ずいはんせい)・補充性という性質があります。
附従性とは、保証債務が主たる債務を担保するものであるという性質をいい、主たる債務が存在しなければ保証債務は成立せず、主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅します。
また、保証債務が主たる債務よりも重くなることもありません。
連帯保証の場合であっても、保証債務の附従性や随伴性は否定されるわけではありません。
つまり、連帯保証において、附従性があるため、連帯保証人は、借主が負担する債務よりも重い保証債務を負担することはありません。よってこの選択肢は不適切です。
なお、保証債務の性質のうち、連帯保証において否定されるのは「補充性」です。
選択肢 イ
保証人は、賃貸物件の明渡義務を直接負うわけではないので、借主が賃貸借契約の解除後に明渡しを遅滞したことによって生じた賃料相当損害金については保証債務を負わない。
×不適切です
建物の明渡しのように、本人でなければ履行できない義務は、保証の範囲に含まれません。
ただし、保証人は借主が明渡しをしなかった場合には、その期間中の住宅の使用価値に相当する金額を損害賠償として支払う責任を負います。
つまり、保証人は、賃貸物件の明渡義務を直接負うわけではありませんが、借主が賃貸借契約の解除後に明渡しを遅滞したことによって生じた賃料相当損害金については保証債務を負います。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
賃貸借契約の更新の際、特段の事情のない限り、保証人は更新後の保証債務を負う。
〇適切です。
賃貸借契約が更新された場合、保証契約自体が更新されるわけではありませんが、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない限り、保証人は更新後の債務についても保証を継続するものとされています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
ただし、定期建物賃貸借契約の場合は、契約期間の満了によって保証契約も終了するということもあわせて押さえておきましょう。
選択肢 エ
法人が保証人となる場合であっても、書面または電磁的記録によらない保証契約は無効である。
〇適切です。
賃貸借契約における保証契約は、貸主(債権者)と保証人との間で締結する契約であり、書面または電磁的記録によることが必要です。
法人が保証人の場合であっても、同様に適用されますので、書面または電磁的記録によらない保証契約は無効となります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正しい選択肢の組合せはウ、エですので、正解は選択肢④となります。
※法改正に伴い、選択肢エを改題しております。(「電磁的記録」の表現を加えるなどの一部改題を行っております。)
ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。
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