今日は、平成30年度 第16問について解説します。

平成30年度賃貸不動産経営管理士試験 第16問(一部改題)

賃貸建物の全部又は一部が滅失した場合の法律関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

① 地震により賃貸建物が一部滅失した場合、修繕が物理的経済的に可能であったとしても、貸主は修繕義務を負わない。

② 賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失についての借主の帰責事由の有無にかかわらず、貸主は修繕義務を負わない。

③ 賃貸建物が一部滅失した場合、借主は使用収益が妨げられている割合に応じて、賃料は当然に減額される。

④ 賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失について借主に帰責事由があっても、賃貸借契約は履行不能により終了する。

 

 

解説

賃貸借契約と目的物滅失に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

地震により賃貸建物が一部滅失した場合、修繕が物理的経済的に可能であったとしても、貸主は修繕義務を負わない

 

×不適切です。

貸主の修繕義務の対象となるのは、地震などの不可抗力による損傷も含まれます。

修繕が物理的・経済的に可能であれば、貸主は修繕義務を負うことになります。

つまり、地震により賃貸建物が一部滅失した場合、修繕が物理的経済的に可能であれば、貸主は修繕義務を負います。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失についての借主の帰責事由の有無にかかわらず、貸主は修繕義務を負わない。

 

〇適切です。

建物が全部滅失した場合には、履行不能となるため、賃貸借契約は当然に終了します。

この場合、契約当事者のいずれかに帰責事由がある場合であっても、契約は終了します。貸主に修繕義務が生じるわけではありません。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

賃貸建物が一部滅失した場合、借主は使用収益が妨げられている割合に応じて、賃料は当然に減額される。

 

〇適切です。

賃料は、目的物を使用収益する対価として支払うものです。

借主に帰責事由なく目的物の一部が滅失するなどして使用収益できなくなった場合には、使用できなくなった部分の割合に応じて賃料は当然に減額されます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失について借主に帰責事由があっても、賃貸借契約は履行不能により終了する。

 

〇適切です。

選択肢②の解説と同様ですが、もう一度確認します。

建物が全部滅失した場合には、履行不能となるため、賃貸借契約は当然に終了します。

この場合、契約当事者のいずれかに責任がある場合であっても、契約は終了します。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢①となります。

 

※民法の改正に伴い、選択肢③を改題しております。
本試験での出題「選択肢③:賃貸建物が一部滅失した場合、当該滅失について借主に帰責事由がない限り、借主は使用収益が妨げられている割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。」

改正前の民法では、借主が「減額の請求」をしてはじめて、賃料が減額されるものと規定していました。
本ブログでは、現行民法の「当然減額される」という規定に基づき、改題のうえで解説しています。

 

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

★関連解説★

修繕義務(H29年 第17問)

 

 

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