今日は、平成30年度 第35問について解説します。

平成30年度賃貸不動産経営管理士試験 第35

個人の賃貸不動産経営に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

①  所得金額の計算上、購入代金が10万円未満の少額の減価償却資産については、全額をその業務の用に供した年分の必要経費とする。


②  不動産所得の損失額のうち賃貸建物を取得するための借入金利息がある場合であっても、その損失を他の所得と損益通算することはできない。


③  印紙税は、業務上の契約書等や領収書に貼付した場合でも、所得計算上の必要経費にならない。


④  不動産所得がある場合には、賃貸物件の所在地を管轄している税務署ごとに確定申告を行う。

 

 

解説

賃貸不動産経営に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

所得金額の計算上、購入代金が10万円未満の少額の減価償却資産については、全額をその業務の用に供した年分の必要経費とする。

 

〇適切です。

個人の所得税では、取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産については、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費に計上することとされています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

不動産所得の損失額のうち賃貸建物を取得するための借入金利息がある場合であっても、その損失を他の所得と損益通算することはできない。

 

×不適切です。

損益通算とは、所得税の計算上、不動産所得などについて生じた損失を、他の所得と相殺することです。

例えば給与所得がある場合、給与所得で源泉徴収された税金は還付される仕組みです。

なお、不動産所得の損失額のうち、土地を取得するための借入金利息については、損益通算できないことになっています。

つまり、不動産所得の損失額のうち土地を取得するための借入金利息がある場合であっても、その損失を他の所得と損益通算することはできない(賃貸建物取得のための借入金利息は、損益通算することができます)よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

印紙税は、業務上の契約書等や領収書に貼付した場合でも、所得計算上の必要経費にならない

 

×不適切です。

印紙税(収入印紙)は、必要経費として所得税から控除することができます。

つまり、印紙税は、業務上の契約書等や領収書に貼付した場合、所得計算上の必要経費になります。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ④

不動産所得がある場合には、賃貸物件の所在地を管轄している税務署ごとに確定申告を行う。

 

×不適切です。

不動産所得は、給与所得など他の所得と合算して確定申告を行い、所得税を計算します。
確定申告は、住所地を管轄する税務署に確定申告書を提出して行います。

つまり、不動産所得がある場合には、住所地を管轄している税務署に確定申告を行います。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢①となります。

選択肢②は少し難易度が高く感じられるかもしれませんが、このような論点が問われたのはこのH30年度の問題のみです。

公式テキストには記載がありますが、頻出度は高くないため、本解説を一通り理解しておく程度で差し支えないでしょう。

一方、選択肢①・③・④に関する内容は、ぜひこの機会に理解を深めていただければと思います。

 

★関連解説★

不動産の税金(R3年 第45問)

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