今日は、宅地建物取引士試験 令和2年度(10月) 第38問について解説します。
令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。
★出題テーマ【宅建業法-媒介】★
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の甲住宅の売却に係る媒介の依頼を受けて締結する一般媒介契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
① Aは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、宅地建物取引士をして記名押印させなければならない。
② Aは、甲住宅の価額について意見を述べる場合、Bに対してその根拠を口頭ではなく書面で明示しなければならない。
③ Aは、当該媒介契約を締結した場合、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。
④ Aは、媒介契約の有効期間及び解除に関する事項を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
解説
媒介契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
Aは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、宅地建物取引士をして記名押印させなければならない。
×不適切です。
宅建業者は、宅地または建物の売買・交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく一定の事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません。
この書面は媒介契約書と呼ばれます。宅建業法34条の2第1項に規定されているため、「法34条の2第1項の規定に基づく書面」といわれることがあります。
なお、記名押印をする必要があるのは宅建業者であり、宅建士が記名押印をする必要はありません。
つまり、Aは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、A自身が記名押印しなければなりません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
Aは、甲住宅の価額について意見を述べる場合、Bに対してその根拠を口頭ではなく書面で明示しなければならない。
×不適切です。
宅建業者は、依頼者に対して物件の価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません。
なお、根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよいものとされています。
つまり、Aは、甲住宅の価額について意見を述べる場合、Bに対してその根拠を明示しなければならならず、その方法は口頭でも書面でも認められます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
Aは、当該媒介契約を締結した場合、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。
×不適切です。
一般媒介契約の場合は、法令上、指定流通機構への登録義務はありませんが、任意で登録をすることは可能です。
つまり、Aは、当該媒介契約を締結した場合、指定流通機構に登録義務はありませんが、任意で登録することはできます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
Aは、媒介契約の有効期間及び解除に関する事項を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
〇適切です。
媒介契約の有効期間および解除に関する事項は、媒介契約書(法34条の2第1項の規定に基づく書面)に記載すべき事項です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
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