今日は、宅地建物取引士試験 平成27年度 第28問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-媒介】★
宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア Aは、Bが所有する甲宅地の売却に係る媒介の依頼を受け、Bと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、法第34条の2第1項に規定する書面に記名押印し、Bに交付のうえ、宅地建物取引士をしてその内容を説明させなければならない。
イ Aは、Cが所有する乙アパートの売却に係る媒介の依頼を受け、Cと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、乙アパートの所在、規模、形質、売買すべき価額、依頼者の氏名、都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なものを指定流通機構に登録しなければならない。
ウ Aは、Dが所有する丙宅地の賃借に係る媒介の依頼を受け、Dと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、Dに法第34条の2第1項に規定する書面を交付しなければならない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし
解説
媒介契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
Aは、Bが所有する甲宅地の売却に係る媒介の依頼を受け、Bと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、法第34条の2第1項に規定する書面に記名押印し、Bに交付のうえ、宅地建物取引士をしてその内容を説明させなければならない。
×不適切です。
宅建業者は、宅地または建物の売買・交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく一定の事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません。
なお、記名押印をする必要があるのは宅建業者であり、宅建士が記名押印をする必要はありません。また、内容を説明させる義務もありません。
つまり、Aは、Bが所有する甲宅地の売却に係る媒介の依頼を受け、Bと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、法第34条の2第1項に規定する書面に記名押印し、Bに交付する必要があります(宅地建物取引士による記名押印や、内容を説明をさせる義務はありません)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
Aは、Cが所有する乙アパートの売却に係る媒介の依頼を受け、Cと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、乙アパートの所在、規模、形質、売買すべき価額、依頼者の氏名、都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なものを指定流通機構に登録しなければならない。
×不適切です。
宅建業者がレインズに登録しなければならない事項は、
物件の所在、規模、形質、売買すべき価額・交換の場合は評価額、物件に係る都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの、
取引の申込みの受付に関する状況、専属専任媒介契約であればその旨です。
なお、依頼者や所有者の氏名、住所などは登録事項ではありません。
つまり、Aは、Cが所有する乙アパートの売却に係る媒介の依頼を受け、Cと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、乙アパートの所在、規模、形質、売買すべき価額、取引の申込みの受付に関する状況、都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なものを指定流通機構に登録しなければなりません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
Aは、Dが所有する丙宅地の賃借に係る媒介の依頼を受け、Dと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、Dに法第34条の2第1項に規定する書面を交付しなければならない。
×不適切です。
宅建業者が賃貸の媒介・代理を依頼する契約については、宅建業法上の媒介・代理契約の規制は適用されず、媒介契約書の交付義務などの規定は適用されません。
つまり、Aは、Dが所有する丙宅地の賃借に係る媒介の依頼を受け、Dと専任媒介契約を締結した。このとき、Aは、Dに法第34条の2第1項に規定する書面を交付する必要はありません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正しい選択肢はひとつもありませんので、正解は選択肢④(なし)となります。
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