今日は、宅地建物取引士試験 平成27年度 第30問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-媒介】★
宅地建物取引業者Aは、Bが所有する宅地の売却を依頼され、専任媒介契約を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア AはBが宅地建物取引業者であったので、宅地建物取引業法第34条の2第1項に規定する書面を作成しなかった。
イ Aは、Bの要望により、指定流通機構に当該宅地を登録しない旨の特約をし、指定流通機構に登録しなかった。
ウ Aは、短期間で売買契約を成立させることができると判断したので指定流通機構に登録せず、専任媒介契約締結の日の9日後に当該売買契約を成立させた。
エ Aは、当該契約に係る業務の処理状況の報告日を毎週金曜日とする旨の特約をした。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
解説
媒介契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
AはBが宅地建物取引業者であったので、宅地建物取引業法第34条の2第1項に規定する書面を作成しなかった。
×宅建業法に違反します。
宅建業者は、宅地または建物の売買・交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく一定の事項を記載した書面(法34条の2第1項の規定に基づく書面)を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません。
依頼者が宅建業者であっても、この義務を免れることはありません。
つまり、AはBが宅地建物取引業者であったので、宅地建物取引業法第34条の2第1項に規定する書面を作成しなかったことは宅建業法に違反します。
選択肢 イ
Aは、Bの要望により、指定流通機構に当該宅地を登録しない旨の特約をし、指定流通機構に登録しなかった。
×宅建業法に違反します
専任媒介契約の場合は、契約の相手方を探索するために、一定の期間内に、指定流通機構に所定の事項を登録する義務があります。
たとえ依頼者の希望であっても、この義務に反する特約は無効となります。
つまり、Aは、Bの要望により、指定流通機構に当該宅地を登録しない旨の特約をし、指定流通機構に登録しなかったことは宅建業法に違反します。
選択肢 ウ
Aは、短期間で売買契約を成立させることができると判断したので指定流通機構に登録せず、専任媒介契約締結の日の9日後に当該売買契約を成立させた。
×宅建業法に違反します
選択肢イと同様、専任媒介契約の場合は、契約の相手方を探索するために、一定の期間内に、指定流通機構に所定の事項を登録する義務があります。
専任媒介契約では契約締結の日から7日以内に登録をしなければなりませんので、
専任媒介契約締結の日の9日後に当該売買契約が成立したとしても、登録する義務を怠っていることに変わりはありません。
つまり、Aは、短期間で売買契約を成立させることができると判断したので指定流通機構に登録せず、専任媒介契約締結の日の9日後に当該売買契約を成立させたことは宅建業法に違反します。
選択肢 エ
Aは、当該契約に係る業務の処理状況の報告日を毎週金曜日とする旨の特約をした。
〇宅建業法に違反しません
専任媒介契約では2週間に1回以上の頻度で、業務の処理状況を報告しなければなりません。
毎週金曜日に業務の処理状況報告することは、2週間に1回以上という規定を満たしておりますので、この選択肢は宅建業法に違反しません。
以上から、宅建業法の規定に違反するものは3つですので、正解は選択肢③となります。
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