今日は、宅地建物取引士試験 平成29年度 43問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-媒介】★
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古マンションの売却の依頼を受け、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではない媒介契約)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア Aは、2週間に1回以上当該専任媒介契約に係る業務の処理状況をBに報告しなければならないが、これに加え、当該中古マンションについて購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨をBに報告しなければならない。
イ 当該専任媒介契約の有効期間は、3月を超えることができず、また、依頼者の更新しない旨の申出がなければ自動更新とする旨の特約も認められない。ただし、Bが宅地建物取引業者である場合は、AとBの合意により、自動更新とすることができる。
ウ Aは、当該専任媒介契約の締結の日から7日(ただし、Aの休業日は含まない。)以内に所定の事項を指定流通機構に登録しなければならず、また、法第50条の6に規定する登録を証する書面を遅滞なくBに提示しなければならない。
エ 当該専任媒介契約に係る通常の広告費用はAの負担であるが、指定流通機構への情報登録及びBがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
解説
媒介契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
Aは、2週間に1回以上当該専任媒介契約に係る業務の処理状況をBに報告しなければならないが、これに加え、当該中古マンションについて購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨をBに報告しなければならない。
〇適切です。
専任媒介契約では2週間に1回以上の頻度で、業務の処理状況を報告しなければなりません。
また、媒介契約の目的物である宅地または建物の売買または交換の申込みがあったときは、遅滞なくその旨を依頼者に報告しなければなりません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 イ
当該専任媒介契約の有効期間は、3月を超えることができず、また、依頼者の更新しない旨の申出がなければ自動更新とする旨の特約も認められない。ただし、Bが宅地建物取引業者である場合は、AとBの合意により、自動更新とすることができる。
×不適切です。
専任媒介契約の場合、有効期間は3か月を超える期間を定めることはできません。3か月よりも長い期間を定めたときは、その期間は3か月とされます。
また、たとえ相手方が宅建業者であっても、自動更新とする旨の特約をすることはできません。
つまり、当該専任媒介契約の有効期間は、3月を超えることができず、また、依頼者の更新しない旨の申出がなければ自動更新とする旨の特約も認められません。Bが宅地建物取引業者であっても、AとBの合意により自動更新とすることはできません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
Aは、当該専任媒介契約の締結の日から7日(ただし、Aの休業日は含まない。)以内に所定の事項を指定流通機構に登録しなければならず、また、法第50条の6に規定する登録を証する書面を遅滞なくBに提示しなければならない。
×不適切です。
専任媒介契約の場合は、契約の相手方を探索するために、一定の期間内に、指定流通機構に所定の事項を登録する義務があります。
専任媒介契約では契約締結の日から7日以内に登録しなければなりません。なお、宅建業者の休業日数は含みません。
また、物件情報を登録した宅建業者は、登録を証する書面(法50条の6に規定)を遅滞なく依頼者に引き渡す必要があります。
なお、書面での引渡しに代えて、依頼者の承諾を得たうえで電磁的方法によって提供することも認められています。
つまり、Aは、当該専任媒介契約の締結の日から7日(ただし、Aの休業日は含まない。)以内に所定の事項を指定流通機構に登録しなければならず、また、法第50条の6に規定する登録を証する書面を遅滞なくBに提供しなければなりません(電磁的方法によって提供することも可能です)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 エ
当該専任媒介契約に係る通常の広告費用はAの負担であるが、指定流通機構への情報登録及びBがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。
×不適切です。
業務を遂行するにあたって要する通常の広告費や調査費といった経費も報酬に含まれているのが原則であり、
依頼者に対して報酬とは別に必要経費を請求することはできません。
したがって、通常の広告費用や指定流通機構への登録費用を報酬とは別に依頼者に請求することはできません。
ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金については、報酬とは別に広告料金に相当する額を受領することができます。
つまり、当該専任媒介契約に係る通常の広告費用はAの負担であるが、BがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができます。指定流通機構への情報登録費用は、通常の業務の範囲内であり報酬とは別に請求することはできません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正しい選択肢はアの1つのみですので、正解は選択肢①となります。
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