今日は、宅地建物取引士試験 平成30年度 33問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-媒介】★
宅地建物取引業者Aは、Bから、Bが所有し居住している甲住宅の売却について媒介の依頼を受けた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
① Aが甲住宅について、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の制度概要を紹介し、Bが同調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合、Aは、同項の規定に基づき交付すべき書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない。
② Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結日から7日以内(休業日を含まない。)に、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。
③ Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。
④ AとBの間で専任媒介契約を締結した場合、Aは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、BがA以外の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置について記載しなければならない。
解説
媒介契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
Aが甲住宅について、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の制度概要を紹介し、Bが同調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合、Aは、同項の規定に基づき交付すべき書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない。
×不適切です。
既存の建物の場合、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項は、
媒介契約書に記載しなければならない事項であり、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について記載します。
なお、建物状況調査を実施する者のあっせんをしない場合は、あっせん「無」としてその理由も記載するものとされています。
つまり、Aが甲住宅について、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の制度概要を紹介し、Bが同調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合、Aは、同項の規定に基づき交付すべき書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項について、あっせん「無」と記載する必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結日から7日以内(休業日を含まない。)に、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。
×不適切です。
Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結日から5日以内(休業日を含まない。)に、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければなりません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。
×不適切です。
宅建業者は、依頼者に対して物件の価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません。
また、価額の査定などに費用が掛かった場合でも、その費用を依頼者に請求することはできません。
つまり、Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾の有無にかかわらず、同調査に要した費用をBに請求することはできません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
AとBの間で専任媒介契約を締結した場合、Aは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、BがA以外の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置について記載しなければならない。
〇適切です。
専任媒介契約では、依頼者が他の宅地建物取引業者の媒介・代理によって売買・交換の契約を成立させた場合は、媒介契約違反に該当します。
依頼者が媒介契約の内容に違反して契約を成立させた場合の措置については、媒介契約書(法34条の2第1項の規定に基づく書面)に記載すべき事項です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
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