今日は、平成29年度 第26問について解説します。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① ガイドラインによれば、震災等の不可抗力による損耗や、借主と無関係な第三者がもたらした損耗等については、借主が負担すべきであるとされている。
② ガイドラインによれば、借主の住まい方や使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるものは、貸主が負担すべきであるとされている。
③ ガイドラインによれば、賃借人に原状回復義務が発生すると思われるものであっても、損耗の程度を考慮し、賃借人の負担割合等についてより詳細に決定することも考えられるとしている。
④ ガイドラインによれば、借主が通常の住まい方、使い方をしても発生すると考えられる損耗等であって、その後の手入れ等借主の管理が悪かったために、その損耗等が発生又は拡大したと考えられるものは、貸主が負担すべきであるとされている。
解説
原状回復をめぐるトラブルとガイドラインに関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
ガイドラインによれば、震災等の不可抗力による損耗や、借主と無関係な第三者がもたらした損耗等については、借主が負担すべきであるとされている。
×不適切です
ガイドラインでは、災害等の不可抗力による損耗や、第三者がもたらした損耗については、借主に責任がないと考えられるため、修繕費用は貸主が負担すべきであるとしています。
つまり、ガイドラインによれば、震災等の不可抗力による損耗や、借主と無関係な第三者がもたらした損耗等については、貸主が負担すべきであるとされています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
ガイドラインによれば、借主の住まい方や使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるものは、貸主が負担すべきであるとされている。
×不適切です
借主の住まい方や使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるものは、借主に善管注意義務違反があると考えられます。
つまり、ガイドラインによれば、借主の住まい方や使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるものは、借主が負担すべきであるとされています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
ガイドラインによれば、賃借人に原状回復義務が発生すると思われるものであっても、損耗の程度を考慮し、賃借人の負担割合等についてより詳細に決定することも考えられるとしている。
〇適切です。
ガイドラインでは、建物の損耗等を建物価値の減少と位置付け、費用負担の割合を検討するにあたり、損耗等を分類し、さらに事例を区分したうえで、負担義務者を整理しています。
ただし、損耗の程度によっては、必ずしも事例の区分どおりに負担義務者が決定するとは限らないため、ガイドラインでは、損耗の程度を考慮し、賃借人の負担割合等についてより詳細に決定することも可能と考えられるとしています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
ガイドラインによれば、借主が通常の住まい方、使い方をしても発生すると考えられる損耗等であって、その後の手入れ等借主の管理が悪かったために、その損耗等が発生又は拡大したと考えられるものは、貸主が負担すべきであるとされている。
×不適切です
借主が通常の住まい方、使い方をしていても発生するもの、その後の手入れが不十分だったため、損耗が発生・拡大したと考えられるものは、借主に善管注意義務違反があると考えられます。
つまり、ガイドラインによれば、借主が通常の住まい方、使い方をしても発生すると考えられる損耗等であって、その後の手入れ等借主の管理が悪かったために、その損耗等が発生又は拡大したと考えられるものは、借主が負担すべきであるとされています。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
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