今日は、平成27年度 第18問について解説します。
賃貸借契約における修繕義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 貸主の承諾を得て転貸借がされた場合、貸主は、転借人に対して修繕義務を負う。
② 借主が死亡した場合、借主が同居している相続人のみが相続により借主の地位を承継するため、雨漏りが生じたときは、当該相続人が貸主に対して修繕を請求する権利を有する。
③ 借主は、賃貸物件につき修繕を要すべき事故が生じ、貸主がこれを知らない場合、借主の義務として、貸主に通知しなければならない。
④ 貸主が賃貸物件の保存を目的とした修繕を行うために借主に一時的な明渡しを求めた場合、借主に協力義務はないため、借主はこれを拒むことができる。
解説
貸主の修繕義務に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
貸主の承諾を得て転貸借がされた場合、貸主は、転借人に対して修繕義務を負う。
×不適切です
貸主の承諾を得て転貸借が行われた場合には、転貸人が転借人に対して、目的物を使用させる義務を負うことになります。
具体的に言うと、貸主(原賃貸人)は借主(転貸人)に対して修繕義務を負い、転貸人は転借人に対して修繕義務を負うということです。
つまり、貸主の承諾を得て転貸借がされた場合、貸主は、借主(転貸人)に対して修繕義務を負います。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
借主が死亡した場合、借主が同居している相続人のみが相続により借主の地位を承継するため、雨漏りが生じたときは、当該相続人が貸主に対して修繕を請求する権利を有する。
×不適切です
借主が死亡したときは、賃借権は相続人に承継されます。
「同居している相続人のみ」という限定は存在しません。
つまり、借主が死亡した場合、借主の相続人が相続により借主の地位を承継するため、雨漏りが生じたときは、当該相続人が貸主に対して修繕を請求する権利を有します(死亡した借主が同居しているものに限るという規定はありません)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
借主は、賃貸物件につき修繕を要すべき事故が生じ、貸主がこれを知らない場合、借主の義務として、貸主に通知しなければならない。
〇適切です。
借主は、目的物について修繕が必要な状態を発見したときは、遅滞なく貸主に通知する義務があります。
選択肢の説明の通り、借主は、賃貸物件につき修繕を要すべき事故が生じ、貸主がこれを知らない場合、借主の義務として、貸主に通知しなければなりませんので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
貸主が賃貸物件の保存を目的とした修繕を行うために借主に一時的な明渡しを求めた場合、借主に協力義務はないため、借主はこれを拒むことができる。
×不適切です
借主には修繕受忍義務があり、貸主が建物の保存のために必要な修繕を行おうとする場合、借主はこれを拒むことはできません。
修繕のために一時的な明渡しの必要があれば、応じなければなりません。
つまり、貸主が賃貸物件の保存を目的とした修繕を行うために借主に一時的な明渡しを求めた場合、借主に修繕受忍義務があるため、借主はこれを拒むことができません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。
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