今日は、平成30年度 第24問について解説します。
賃貸借契約の更新に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 期間の定めのある建物賃貸借契約において、期間満了4か月前に更新拒絶の通知をした場合、当該契約は法定更新される。
② 期間の定めのある建物賃貸借契約が法定更新された場合、更新前の契約と更新後の契約は、契約期間も含め別個独立の同一性のない契約である。
③ 更新料特約以外に更新手数料特約を定めることは、有効である。
④ 建物賃貸借契約の更新に係る事務は、賃貸住宅管理業法上、業務管理者が管理・監督を行う必要はない。
解説
賃貸借契約の更新に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
期間の定めのある建物賃貸借契約において、期間満了4か月前に更新拒絶の通知をした場合、当該契約は法定更新される。
〇適切です。
法定更新とは、期間の定めのある建物賃貸借契約において、契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に、貸主・借主いずれからも更新拒絶等の通知等が行われなかった場合に、借地借家法の規定に基づいて自動的に更新されたものとみなされる制度です。
期間満了4か月前では、更新拒絶等の通知等を行うべき時期にはちょっと遅いですね。
この場合は、選択肢の説明の通り、当該契約は法定更新されることになります。
ただし、貸主が更新を拒絶する場合には、更新を拒否するのが正当と認められるだけの理由(正当事由)が必要です。この点も、あわせて押さえておきましょう。
選択肢 ②
期間の定めのある建物賃貸借契約が法定更新された場合、更新前の契約と更新後の契約は、契約期間も含め別個独立の同一性のない契約である。
×不適切です。
法定更新された契約では、契約条件は従前と同じとされますが、契約期間については期間の定めのない契約として扱われます。
つまり、期間の定めのある建物賃貸借契約が法定更新された場合、更新前の契約と更新後の契約は、契約期間は期間の定めのない契約となり、契約条件については従前の契約と同じとされます(同一性がある)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
更新料特約以外に更新手数料特約を定めることは、有効である。
〇適切です。
管理業者と当事者との間に明確な合意があり、金額が社会通念上相当であれば、更新料特約に基づく更新料とは別に、更新事務手数料を受け取ることも可能です。
なお、更新料と更新手数料の両方を請求すること自体も違法ではありません。
選択肢の説明の通り、更新料特約以外に更新手数料特約を定めることは、有効ですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
建物賃貸借契約の更新に係る事務は、賃貸住宅管理業法上、業務管理者が管理・監督を行う必要はない。
〇適切です。
選択肢の説明の通り、建物賃貸借契約の更新に係る事務は、賃貸住宅管理業法上、業務管理者が管理・監督を行うべき事項に含まれませんので、この選択肢は適切です。
なお、業務管理者が管理・監督に関する事務を行うべき事項は、次の1)~8)のとおりです。
1) 管理受託契約の重要事項説明の書面の交付および説明に関する事項
2) 管理受託契約締結時書面の交付に関する事項
3) 管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施に関する事項および賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
4) 帳簿の備付け等に関する事項
5) 定期報告に関する事項
6) 秘密の保持に関する事項
7) 賃貸住宅の入居者からの苦情の処理に関する事項
8) 1)~7)のほか、賃貸住宅の入居者の居住の安定および賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な事項として国土交通大臣が定める事項
以上から、正解は選択肢②となります。
※賃貸住宅管理業法の制定に伴い、選択肢④を改題しております。
本試験での出題「選択肢④:建物賃貸借契約の更新に係る事務は、賃貸住宅管理業者登録制度では、基幹事務の一つとされている。」
「賃貸住宅管理業者登録制度」は、賃貸住宅管理業法が制定される前の旧制度です。
本ブログでは、現行法である賃貸住宅管理業法として改題のうえで解説しています。
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