今日は、平成29年度 第23問について解説します。

平成29年度賃貸不動産経営管理士試験 第23

未収賃料の経理上の処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

 

①  賃料の支払がなければ、税務上、収入として扱う必要はなく、貸借対照表への計上も不要である。


②  金銭の授受の名目が敷金であれば、返還しないことが確定している場合でも、収入金額への計上を要しない。


③  回収不能の未収賃料は、個人貸主にあっては、損失が生じた日の属する年分の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されるのが原則である。


④  滞納期間が長い未収賃料は、回収不能と判断されて必要経費に算入される。

 

 

解説

未収賃料の経理処理に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

賃料の支払がなければ、税務上、収入として扱う必要はなく、貸借対照表への計上も不要である

 

×不適切です

収入金額として税務上計上するのは、原則として、その年の1月1日から12月31日までに受け取るべき金額です。

たとえ家賃が滞納されている場合であっても、未収賃料として収入金額に含める必要があります。

つまり、賃料の支払がなくても、税務上、収入として扱う必要があり、貸借対照表への計上が必要です。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

金銭の授受の名目が敷金であれば、返還しないことが確定している場合でも、収入金額への計上を要しない

 

×不適切です

不動産の収入金額に該当する主なものには、賃料、地代、権利金、礼金、更新料のほかに、敷金・保証金などで、退去時に返還しないものが含まれます。
さらに、共益費や電気・水道代、清掃代などの名目で受領する金銭も収入金額に含まれます。

つまり、金銭の授受の名目が敷金であれば、返還しないことが確定している場合には、収入金額への計上が必要です。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

回収不能の未収賃料は、個人貸主にあっては、損失が生じた日の属する年分の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されるのが原則である。

 

〇適切です。

回収不能な未収賃料については、法令に基づく手続きにより債権が切り捨てられた場合や、債務免除などにより客観的に貸倒れが認識できる事実がある場合は、その年の必要経費として計上することが認められます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

滞納期間長い未収賃料は、回収不能と判断されて必要経費に算入される

 

×不適切です

貸倒れは税務上厳格に判断されますので、単に滞納しているだけでは貸倒れとして認められません。法的整理や債務免除など、回収不能を裏づける客観的事実が必要です。

つまり、滞納期間が長い未収賃料は、単に滞納しているだけでは回収不能と判断されて必要経費に算入されることはありません。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢③となります。

 

 

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