今日は、宅地建物取引士試験 令和3年度(10月) 第38問について解説します。

令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。

 

★出題テーマ【宅建業法-媒介】★

令和3年度(10月)宅地建物取引士試験 第38

宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者BからB所有の建物の売却を依頼され、Bと一般媒介契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはいくつあるか。

 

ア 本件契約を締結する際に、Bから有効期間を6か月としたい旨の申出があったが、AとBが協議して、有効期間を3か月とした。


イ 当該物件に係る買受けの申込みはなかったが、AはBに対し本件契約に係る業務の処理状況の報告を口頭により14日に1回以上の頻度で行った。


ウ Aは本件契約を締結した後、所定の事項を遅滞なく指定流通機構に登録したが、その登録を証する書面を、登録してから14日後にBに交付した。


エ 本件契約締結後、1年を経過しても当該物件を売却できなかったため、Bは売却をあきらめ、当該物件を賃貸することにした。そこでBはAと当該物件の貸借に係る一般媒介契約を締結したが、当該契約の有効期間を定めなかった。

 

1  一つ

2  二つ

3  三つ

4  四つ 

 

 

 

解説

媒介契約に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ア

本件契約を締結する際に、Bから有効期間を6か月としたい旨の申出があったが、AとBが協議して、有効期間を3か月とした。

 

〇適切です。

一般媒介契約の場合、有効期間について法律上の規制はありません。

選択肢の説明の通り、Bから有効期間を6か月としたい旨の申出があったが、AとBが協議して、有効期間を3か月としても違反にはなりませんので、この選択肢は適切です。

なお、国土交通省が作成した標準媒介契約約款においては、3か月までと定めています。この点もあわせて押さえておきたいですね。


選択肢 イ

当該物件に係る買受けの申込みはなかったが、AはBに対し本件契約に係る業務の処理状況の報告を口頭により14日に1回以上の頻度で行った。

 

〇適切です。

一般媒介契約の場合、業務処理状況の報告義務はありません。

選択肢の説明の通り、AはBに対し本件契約に係る業務の処理状況の報告を口頭により14日に1回以上の頻度で行ったとしても違反にはなりませんので、この選択肢は適切です。

なお、買受けの申込みがあったときは、遅滞なくその旨を依頼者に報告しなければならないのは、一般媒介契約でも専任媒介契約でも同じです。

 


選択肢 ウ

Aは本件契約を締結した後、所定の事項を遅滞なく指定流通機構に登録したが、その登録を証する書面を、登録してから14日後にBに交付した。

 

〇適切です。

一般媒介契約の場合は、法令上、指定流通機構への登録義務はありませんが、任意で登録をすることは可能です。

選択肢の説明の通り、契約を締結した後、所定の事項を遅滞なく指定流通機構に登録したが、その登録を証する書面を、登録してから14日後にBに交付したとしても違反にはなりませんので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 エ

本件契約締結後、1年を経過しても当該物件を売却できなかったため、Bは売却をあきらめ、当該物件を賃貸することにした。そこでBはAと当該物件の貸借に係る一般媒介契約を締結したが、当該契約の有効期間を定めなかった。

 

〇適切です。

宅建業者に賃貸の媒介・代理を依頼する契約については、宅建業法上の媒介・代理契約の規制は適用されません。

選択肢の説明のとおり、BはAと当該物件の貸借に係る一般媒介契約を締結したが、当該契約の有効期間を定めなかったとしても違反にはなりませんので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正しい選択肢はア、イ、ウ、エの4つですので、正解は選択肢④となります。

 

 

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