今日は、宅地建物取引士試験 令和2年度(10月) 第29問について解説します。

令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。

 

★出題テーマ【宅建業法-媒介】★

令和2年度(10月)宅地建物取引士試験 第29

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の住宅の売却の媒介を依頼された場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結し、所定の事項を指定流通機構に登録したときは、その登録を証する書面を遅滞なくBに引き渡さなければならない。


イ Aは、Bとの間で媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。


ウ Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結するときは、Bの要望に基づく場合を除き、当該契約の有効期間について、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできない。


エ Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結したときは、Bに対し、当該契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。

 

1  一つ

2  二つ

3  三つ

4  四つ

 

 

解説

媒介契約に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ア

Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結し、所定の事項を指定流通機構に登録したときは、その登録を証する書面を遅滞なくBに引き渡さなければならない。

 

〇適切です。

専任媒介契約の場合は、契約の相手方を探索するために、一定の期間内に、指定流通機構に所定の事項を登録する義務があります。

物件情報を登録した宅建業者は、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡す必要があります。なお、書面での引渡しに代えて、依頼者の承諾を得たうえで電磁的方法によって提供することも認められています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 イ

Aは、Bとの間で媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。

 

〇適切です。

標準媒介契約約款とは、国土交通大臣が定めた標準的な媒介契約書のひな形です。

媒介契約が、標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別は、媒介契約書(法34条の2第1項の規定に基づく書面)に記載すべき事項です。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ウ

Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結するときは、Bの要望に基づく場合を除き、当該契約の有効期間について、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできない。

 

×不適切です。

専任媒介契約の場合、たとえ依頼者からの要望があっても、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできません。

有効期間は依頼者の申出によって更新(有効期間は3か月まで)することができますので、有効期間満了後も継続したい場合は更新する必要があります。

つまり、Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結するときは、当該契約の有効期間について、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできません(Bの要望に基づいて更新することはできます)。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 エ

Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結したときは、Bに対し、当該契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。

 

〇適切です。

専属専任媒介契約では1週間に1回以上の頻度で、業務の処理状況を報告しなければなりません。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正しい選択肢はアとイとエの3つですので、正解は選択肢③となります。

 

 

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