今日は、宅地建物取引士試験 平成26年度 第32問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-媒介】★
宅地建物取引業者Aは、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受けた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア AがBとの間で専任媒介契約を締結し、Bから「売却を秘密にしておきたいので指定流通機構への登録をしないでほしい」旨の申出があった場合、Aは、そのことを理由に登録をしなかったとしても法に違反しない。
イ AがBとの間で媒介契約を締結した場合、Aは、Bに対して遅滞なく法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならないが、Bが宅地建物取引業者であるときは、当該書面の交付を省略することができる。
ウ AがBとの間で有効期間を3月とする専任媒介契約を締結した場合、期間満了前にBから当該契約の更新をしない旨の申出がない限り、当該期間は自動的に更新される。
エ AがBとの間で一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結し、当該媒介契約において、重ねて依頼する他の宅地建物取引業者を明示する義務がある場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
解説
媒介契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
AがBとの間で専任媒介契約を締結し、Bから「売却を秘密にしておきたいので指定流通機構への登録をしないでほしい」旨の申出があった場合、Aは、そのことを理由に登録をしなかったとしても法に違反しない。
×不適切です。
専任媒介契約の場合は、契約の相手方を探索するために、一定の期間内に、指定流通機構に所定の事項を登録する義務があります。
たとえ依頼者の希望であっても、この義務に反する特約は無効となります。
つまり、AがBとの間で専任媒介契約を締結し、Bから「売却を秘密にしておきたいので指定流通機構への登録をしないでほしい」旨の申出があった場合、Aは、そのことを理由に登録をしなかったとしても法に違反します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
AがBとの間で媒介契約を締結した場合、Aは、Bに対して遅滞なく法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならないが、Bが宅地建物取引業者であるときは、当該書面の交付を省略することができる。
×不適切です。
宅建業者は、宅地または建物の売買・交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく一定の事項を記載した書面(法34条の2第1項の規定に基づく書面)を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません。
依頼者が宅建業者であっても、この義務を免れることはありません。
つまり、AがBとの間で媒介契約を締結した場合、Aは、Bに対して遅滞なく法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならず、Bが宅地建物取引業者であるときでも、当該書面の交付を省略することはできません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
AがBとの間で有効期間を3月とする専任媒介契約を締結した場合、期間満了前にBから当該契約の更新をしない旨の申出がない限り、当該期間は自動的に更新される。
×不適切です。
専任媒介契約の場合、有効期間は3か月を超える期間を定めることはできません。
有効期間は依頼者の申出によって更新することができますが、自動的に更新する旨の特約を定めることはできません。
つまり、AがBとの間で有効期間を3月とする専任媒介契約を締結した場合、有効期間は依頼者の申出によって更新することができますが、自動的に更新することはできません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 エ
AがBとの間で一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結し、当該媒介契約において、重ねて依頼する他の宅地建物取引業者を明示する義務がある場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。
〇適切です。
明示義務がある一般媒介契約では、依頼者が明示していない他の宅建業者の媒介・代理によって売買・交換の契約を成立させた場合は、媒介契約違反に該当します。
依頼者が媒介契約の内容に違反して契約を成立させた場合の措置については、媒介契約書(法34条の2第1項の規定に基づく書面)に記載すべき事項です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、誤っているは3つですので、正解は選択肢③となります。
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