今日は、令和7年度 第45問について解説します。
賃貸不動産に係る新たな政策課題の解決や、新たな活用方策の推進において、賃貸住宅管理業者及び賃貸不動産経営管理士の役割に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
① 単身高齢者の居住の安定確保を図るため、住宅扶助費等の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱いなどを説明し、賃貸人が家賃滞納等に対して感じる不安を払拭して、円滑な賃貸借につなげることが賃貸不動産経営管理士には期待される。
② 「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(法務省・国土交通省令和3年6月公表)によれば、解除関係事務受任者や残置物関係事務受任者には推定相続人、居住支援法人や社会福祉法人などを想定しており、賃貸人と管理委託契約を結んでいる管理業者は受任者になることはできない。
③ 空き家の賃貸住宅化は空き家問題の解決策のひとつであるが、空き家の賃貸住宅化には所有者の意欲や資力、空き家の老朽化や劣化、戸建の賃貸需要の少なさなどの課題があるため、空き家所有者が賃貸不動産経営に参画できる環境の整備に賃貸不動産経営管理士が関与することはできない。
④ 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(国土交通省不動産・建設経済局令和3年10月公表)によれば、賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅における人の死について入居者に告知する必要がある。
解説
賃貸住宅管理業者と賃貸不動産経営管理士の役割に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
単身高齢者の居住の安定確保を図るため、住宅扶助費等の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱いなどを説明し、賃貸人が家賃滞納等に対して感じる不安を払拭して、円滑な賃貸借につなげることが賃貸不動産経営管理士には期待される。
〇適切です。
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)に基づき、住宅扶助費の代理納付制度や残置物の取扱いに関する契約内容について、貸主に適切に説明し、その理解を促すことによって、
住宅確保要配慮者が安心して暮らせる賃貸住宅の提供に貢献することが賃貸不動産経営管理士に期待されています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
※本肢では「単身高齢者の居住の安定確保を図るため」と記載がありますが、単身高齢者は「住宅確保要配慮者」に該当します。
住宅確保要配慮者には、低額所得者、高齢者、障害者、被災者、子育て世帯などが含まれますが、本肢はその中の代表例として「単身高齢者」を取り上げているという理解(限定しているわけではない)で問題ないと考えます。
したがって、住宅セーフティネット法に基づく対応は住宅確保要配慮者全般に共通するものであり、本肢は代表例を示したものとして適切と判断できます。
選択肢 ②
「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(法務省・国土交通省令和3年6月公表)によれば、解除関係事務受任者や残置物関係事務受任者には推定相続人、居住支援法人や社会福祉法人などを想定しており、賃貸人と管理委託契約を結んでいる管理業者は受任者になることはできない。
×不適切です
残置物の処理等に関するモデル契約条項は、賃貸借契約の継続中に高齢の借主が死亡し、相続人と連絡が取れない場合などにおける、賃貸借契約の終了および物件内に残された動産(残置物)の処理に関するリスクを軽減する観点から、国土交通省と法務省によって公表されたものです。
借主の死亡時に備えて、第三者との間で解除事務委任契約および残置物関係事務委託契約を結ぶことで、契約終了や相続人の立場にも配慮した形での残置物早期処分が実現できる仕組みが整備されています。
なお、貸主から委託を受けた場合は、管理業者も解除事務受任者や残置物関係事務受任者になることができます。
つまり、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(法務省・国土交通省令和3年6月公表)によれば、解除関係事務受任者や残置物関係事務受任者には推定相続人、居住支援法人や社会福祉法人のほか、賃貸人と管理委託契約を結んでいる管理業者も受任者になることができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
空き家の賃貸住宅化は空き家問題の解決策のひとつであるが、空き家の賃貸住宅化には所有者の意欲や資力、空き家の老朽化や劣化、戸建の賃貸需要の少なさなどの課題があるため、空き家所有者が賃貸不動産経営に参画できる環境の整備に賃貸不動産経営管理士が関与することはできない。
×不適切です
賃貸不動産経営管理士には、空き家の所有者に対して、賃貸借に関する情報の提供や、入居者の募集、賃貸住宅としての管理の引受けなどについて、的確な助言や提言を行うことによって、
空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できるよう環境を整備し、空き家問題の解決に貢献することが期待されています。
つまり、空き家の賃貸住宅化は空き家問題の解決策のひとつであるが、空き家の賃貸住宅化には所有者の意欲や資力、空き家の老朽化や劣化、戸建の賃貸需要の少なさなどの課題があるため、空き家所有者が賃貸不動産経営に参画できる環境の整備に賃貸不動産経営管理士が関与することが期待されています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(国土交通省不動産・建設経済局令和3年10月公表)によれば、賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅における人の死について入居者に告知する必要がある。
×不適切です
人の死の告知に関するガイドラインは、過去に人の死が発生した居住用不動産の取引に際して、
宅建業者が宅建業法上負うべき義務の解釈について、一般的に妥当と考えられる対応を整理したものです。
原則として、宅建業者は、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、人の死に関する事案を告げなければならないとされています。
つまり、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(国土交通省不動産・建設経済局令和3年10月公表)によれば、宅建業者は、賃貸住宅における人の死について取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には告知する必要があるとされています。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢①となります。
