今日は、平成30年度 第19問について解説します。
普通建物賃貸借契約(定期建物賃貸借契約でない建物賃貸借契約をいう。以下、各問において同じ。)の解約及び更新拒絶に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
① 貸主からの期間内解約条項がある場合には、貸主からの解約申入れに正当事由は不要である。
② 賃貸建物の老朽化が著しいことを理由として更新を拒絶する場合、貸主は立退料を支払うことなく、当然に正当事由が認められる。
③ 貸主による更新拒絶通知に正当事由がある場合であっても、期間満了後に借主が建物を継続して使用し、貸主がそれに対して遅滞なく異議を述べなかった場合には、契約は更新されたものとみなされる。
④ 契約期間満了までに、更新について合意が成立しない場合、特約のない限り、従前と同一条件かつ同一期間で賃貸借契約が当然に更新されたものとみなされる。
解説
賃貸借契約の解約と更新拒絶に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
貸主からの期間内解約条項がある場合には、貸主からの解約申入れに正当事由は不要である。
×不適切です
期間の定めがある建物賃貸借契約は、原則として契約期間中に解約することはできませんが、期間内解約条項を設けると、契約期間内でも解約権を行使できる場合があります。
貸主からの解約申入れを可能とする期間内解約条項を設けた場合でも、貸主から解約を申入れる場合は正当事由が必要です。
つまり、貸主からの期間内解約条項がある場合であっても、貸主からの解約申入れに正当事由は必要です。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
賃貸建物の老朽化が著しいことを理由として更新を拒絶する場合、貸主は立退料を支払うことなく、当然に正当事由が認められる。
×不適切です
賃貸建物の老朽化が著しいことは、更新拒絶の正当事由を判断する際に考慮される要因のひとつです。
ただし、正当事由の有無は、貸主と借主それぞれが建物を使用する必要性を基本的な判断基準として、建物の現況や賃貸借の経過など、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されます。
そのため、建物の老朽化という一つの要因だけで、当然に正当事由が認められるわけではありません。
また、立退料の提供は正当事由を補完する要素であり、立退料を支払うだけで正当事由が認められるものでもありません。
つまり、賃貸建物の老朽化が著しいことを理由として更新を拒絶する場合、貸主は立退料の支払いの有無にかかわらず、当然に正当事由が認められるわけではありません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
貸主による更新拒絶通知に正当事由がある場合であっても、期間満了後に借主が建物を継続して使用し、貸主がそれに対して遅滞なく異議を述べなかった場合には、契約は更新されたものとみなされる。
〇適切です。
更新拒絶等の通知をした場合でも、契約満了後に借主が建物の使用を継続し、貸主がこれに対して遅滞なく異議を述べなかった場合には、契約は更新されたものとみなされます。(法定更新)
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
契約期間満了までに、更新について合意が成立しない場合、特約のない限り、従前と同一条件かつ同一期間で賃貸借契約が当然に更新されたものとみなされる。
×不適切です
期間の定めのある建物賃貸借契約において、契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に、貸主・借主いずれからも更新拒絶等の通知が行われなかった場合には、借地借家法の規定に基づいて自動的に更新されたものとみなされます。(法定更新)
法定更新された契約では、契約条件は従前と同じとされますが、契約期間については期間の定めのない契約として扱われます。
つまり、契約期間満了までに、更新について合意が成立しない場合、特約のない限り、従前と同一条件かつ期間の定めのない契約として賃貸借契約が当然に更新されたものとみなされます。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。