【過去問解説(企業経営理論)】H30第35問 プロモーション戦略

今日は平成30年第35問のプロモーション戦略に関する問題について解説します。

今回の問題は、読者の方から解説をリクエストされた問題で、設問1は恐らく、多くの方が騙されたのではと思います。

 

H30 企業経営理論 第35

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
プロモーションの役割は、①広告、販売促進、人的販売、パブリックリレーションズ(PR)の 4つの手段を用いて、製品やサービスに関する情報を伝達し、魅力をアピールし、販売を促進することである。プロモーション効果を高めるためには、その目的や、対象となる②製品・サービスの特性および知名、理解、好意・選好、購買、再購買といった購買プロセスの段階に応じて、 4つのプロモーション手段を使い分けたり、適切に組み合わせたりすることが重要である。

(設問1 )
文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 2016 年度の日本の広告費に関する注目点は、製作費を含むインターネット広告費が、はじめて、テレビメディア広告費を上回ったことである。
イ 従業員と家族を対象にした運動会や部署旅行および従業員の家族を対象にした職場見学会を実施する企業が出てきている。これらの活動は PR の一環と捉えることができる。
ウ 人的販売は、テレビ広告と比較して、到達する消費者 1 人当たりの情報伝達コストが小さい。
エ パブリシティは、企業や製品に関する情報の公表を通じて、新聞や雑誌などのメディアに取り上げてもらうための広告活動の 1 つである。

(設問 2 )
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア  4 つのプロモーション手段の重要性は、対象が消費財か生産財かによって変わるが、いずれの場合も、広告が最も重要である。
イ 企業が広告を作成する狙いには、再購買時のブランド想起を促進したり、購買後に消費者が感じる認知不協和を減らしたりする効果を生み出すことが含まれる。
ウ 製品やサービスに対する知名率や理解率が高いものの購買に至らない場合、買い手の当該製品やサービスに対する関与の高低にかかわらず、短期的なインセンティブを提供する販売促進が最も有効である。
エ プッシュ戦略と比較して、プル戦略の場合、一般的に、人的販売が重要視される。

 

まずは設問1からです。
設問1は冒頭で触れたように、かなり多くの人が騙されたと思われる問題です。
かくいう私も、最初答えを知らずに解いたときは騙されました。

それでは早速各選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは、知らないと判断できません。
ただ、まださすがにテレビの方が広告費は上なんじゃないか、という感覚による推測はできるので、×?くらいをつけておきます。

選択肢イは、特に明確に間違っている点はなさそうですが、絶対あっていると断言できるほどの材料もありません。そのため、こちらも△をつけて保留にします。

選択肢ウのテレビ広告は、確かに広告費はかかりますが、その代わり多くの人にリーチできるため、一人当たりの広告費は抑えられます。それに対し、人的販売は、販売員が直接消費者に接するため、一人当たりのコストで考えると高くなります。
よって、この選択肢は×となります。

選択肢エの「パブリシティは、企業や製品に関する情報の公表を通じて、新聞や雑誌などのメディアに取り上げてもらうため」という表記はパブリシティの定義そのものです。
選択肢ア、イは△だったので、パブリシティの定義そのものである選択肢エが○です。

・・・としたいところですが、それは誤りです。
この選択肢では「パブリシティは、企業や製品に関する情報の公表を通じて、新聞や雑誌などのメディアに取り上げてもらうため」の「広告活動の 1 つである」と言っています。
考えやすくするために、中間を省略してみましょう。そうすると、
「パブリシティは、広告活動の 1 つである」
となります。
もし、これが単品の選択肢で出たら、パブリシティと広告は別物なので×、と多くの人が判断できるのではないでしょうか?
まとめシートでも出題パターン④として「余分な説明や形容詞を挟むことで文章を長くし読みにくくしている」というパターンを挙げましたが、間にわかりやすいパブリシティの定義を挟むことで、見事にこのパターンで騙そうとしています。
以上から実は選択肢エは×となります。

では、保留にしてあった選択肢アとイを改めて見てみましょう。
アとイであれば、恐らくイの方が間違っている部分を見出すことはできないので、どちらかというと適切ではないかと判断できます。
よって正解は選択肢イです。

ちなみに、後で調べたところ、電通の「日本の広告費」によると、2016年の広告費はテレビメディアが1兆9,657億円、インターネット広告費が1兆3,100億円とまだ、テレビの広告費の方が高くなっています。
ただ、広告費の伸びはインターネットの方が圧倒的ですので、逆転する日も近いのではないかと思います。

次に設問2を見てみましょう。
選択肢アのプロモーション手段としては、消費財はプル戦略である広告が重要ですが、生産財の場合、プッシュ戦略である人的販売や販売促進が有効とされています。よってこの選択肢は×と判断できます。

選択肢イは特に間違っているところは見当たらないため、次の選択肢を見てみます。

選択肢ウは、「短期的なインセンティブを提供する販売促進が最も有効である」と断言していますが、そんなことはありません。よってこの選択肢は×と判断できます。

選択肢エは、人的販売はプッシュ戦略で、選択肢の文章はプッシュ戦略とプル戦略が逆になっています。

以上から、正解は選択肢イとなります。

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