今日は、企業経営理論 R5 第13問について解説します。
企業の社会的責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア A. キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、社会貢献責任をピラミッドの土台に、経済的責任を最上部を形成するものと位置づけた。
イ M. フリードマンによると、企業の社会的責任とは株主利益の最大化であるが、彼の企業の社会的責任論は、法律や社会規範を遵守した上での競争を行うというルールを前提としたものである。
ウ P. ドラッカーによると、20 世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったので、企業の社会的責任は現代の経営者の持つべき新しい課題であるとした。
エ 企業の社会的責任に関し、R. フリーマンは、企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあることを指摘し、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開した。
解説
企業の社会的責任に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:A. キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、社会貢献責任をピラミッドの土台に、経済的責任を最上部を形成するものと位置づけた。
×不適切です。
解説
A.キャロルのCSRピラミッドでは、経済的責任が最下層、その上に法的責任→倫理的責任→慈善的責任(社会貢献)と続く構造です。つまり、社会貢献責任をピラミッドの土台とするのは誤りです。
よって、この選択肢は×不適切です。
選択肢イ:M. フリードマンによると、企業の社会的責任とは株主利益の最大化であるが、彼の企業の社会的責任論は、法律や社会規範を遵守した上での競争を行うというルールを前提としたものである。
〇適切です。
解説
M.フリードマンは、企業の社会的責任(CSR)について懐疑的な立場をとり、「企業の責任は株主の利益を最大化することにある」と主張しました。ただしこの見解は、法令や社会規範を遵守したうえでの活動を前提としており、違法行為や社会常識から逸脱する行動は認められないという立場に立っています。
よって、この選択肢は〇適切です。
選択肢ウ:P. ドラッカーによると、20 世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったので、企業の社会的責任は現代の経営者の持つべき新しい課題であるとした。
×不適切です。
解説
P.ドラッカーは、企業の社会的責任は新しい課題であることを説いたものの、20世紀初頭までの経営者に社会的責任を意識した者がいなかったという断定的な記述は誤りです。歴史的には産業革命以降、社会貢献や労働環境の改善を重視する企業も存在しており、そのような動きが皆無だったとは言えません。
よって、この選択肢は×不適切です。
選択肢エ:企業の社会的責任に関し、R. フリーマンは、企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあることを指摘し、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開した。
×不適切です。
解説
R.フリーマンは「ステークホルダー理論」の提唱者であり、企業とステークホルダーの「相互依存的な関係性を重視すべき」とした立場です。対立関係を強調し危険視したという点は誤りであり、むしろ企業と利害関係者の調和・協働を重視しました。
よって、この選択肢は×不適切です。
以上から、正解は選択肢イとなります。
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