【過去問解説(法務)】H27 第18問 株式市場

今回は、H27年経営法務の第18問の株式市場に関する問題について解説します。

H27 第18問

中小企業診断士であるあなたと、東京証券取引所が運営する新興市場に上場した顧客企業のIR担当執行役員甲氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。
あなた:「今月上場されたのですよね。おめでとうございます。」
甲 氏:「ありがとうございます。」
あなた:「でも、甲さんの仕事はこれからが大変ですね。上場企業となるといろいろ情報開示が求められますし。」
甲 氏:「そうですね。一口に企業内容の開示といっても、法定開示、適時開示、それに任意開示があって、何か起こったときにどれに該当するかはなかなか瞬時には判断がつきません。あと、開示内容が誤っていたり虚偽記載があったりした場合の法的責任も重そうですよね。例えば有価証券報告書に虚偽記載があった場合、どのようなペナルティがありますか。」
あなた:「当局に提出して開示した有価証券報告書の重要な事項について虚偽記載があったり記載が欠けたりした場合、有価証券の発行者である会社が課徴金を国庫に納めなければなりません。課徴金の金額については、その発行会社が発行する有価証券の市場価額の総額に[ A ]を乗じて算出した額が600万円を超えなければ 600万円、超えればその算出額になります。
また、重要な事項について虚偽記載等のある有価証券報告書の提出会社は、流通市場における有価証券の取得者・[ B ]に対して、金融商品取引法に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。この流通市場における提出会社の損害賠償責任については、発行市場における発行会社の損害賠償責任と[ C ]、[ D ]であるとされています。さらに罰則もあります。具体的に重要な事項の虚偽記載とされる事例については、専門家のアドバイスを受けてください。」
甲 氏:「ウチみたいに経営の規模が小さければ、[ E ]に対する監査の免除といった新規上場企業の負担軽減措置も受けられますが、やはり上場した以上、責任は重いのですね。」

(設問1)
次の①〜⑥の事項のうち、その開示が会話の中の下線部(適時開示)に当てはまるものの組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
① 業務上の提携又は業務上の提携の解消
② 会社業務における法令違反事実等の不祥事の発覚
③ 有価証券報告書、四半期報告書
④ 有価証券報告書及び四半期報告書の提出遅延
⑤ 中期経営計画
⑥ 事業報告における内部統制システムに関する取締役会決議の概要
[解答群]
ア ①、④
イ ①、⑤
ウ ②、③
エ ④、⑥

(設問2)
会話中の空欄A〜Eに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
ア A:10万分の6 B:処分者 C:異なり D:立証責任の転換された過失責任 E:内部統制報告書
イ A:10万分の3 B:処分者 C:同様 D:無過失責任 E:有価証券届出書
ウ A:100分の2.25 B:転得者 C:異なり D:一般不法行為と同様の過失責任 E:有価証券報告書
エ A:100分の1 B:発行者 C:同様 D:結果責任 E:事業報告書

 

それでは早速各設問について考えていきましょう。

(設問1)
適時開示とは、証券取引所に上場した会社が義務付けられているもので、投資者の投資判断に重要な影響を与える会社の業務、運営又は業績等に関する情報を適時・適切に投資者に開示することをいいます。
適時開示の内容は上場証券取引所規則によって定められています。
 

今回の場合、適時開示に定められているのは上場会社の決定事実として①の業務上の提携又は業務上の提携の解消と、上場会社の発生事実として④の有価証券報告書及び四半期報告書の提出遅延が当てはまります。
よって正解は選択肢アとなります。

もし、この上場証券取引所規則を知らない場合、正確に当てるのは難しいですが、以下のような考え方で予想はすることができるかもしれません。

①~⑥を見ていくと、③有価証券報告書、四半期報告書は、継続開示にあたるため×だろうということが考えられます。

また、中期経営計画は多くの企業が作成していますが、会社によって公開されている会社と公開されていない会社があります。もし開示が義務付けられているのであれば、どの上場会社でも中期経営計画が見られるはずですので、⑤中期経営計画は×だろうと考えることができます。

選択肢を見てみると、③と⑤が含まれる選択肢イ、ウ、は落とすことができます。

残りの選択肢ア、エを見ると両方に④が含まれているため、④が〇ということは確定で、①と⑥のどちらが〇かということを考えます。
①業務上の提携又は業務上の提携の解消と⑥事業報告における内部統制システムに関する取締役会決議の概要で、投資家に与える影響が大きいのはどちらかという観点から考えると①の業務上の提携又は業務上の提携の解消の方が投資家に与える影響が大きそうだと考えられます。

そのため、正解は選択肢アと推測することができます。

このように答えを知らない問題でも、推測を重ねることで、正解を導ける場合があります。

ですので、すぐに「答えを知らない」とあきらめるのではなく、知っている情報からどうにか正解を導けないかと考えてみるとチャンスが拓ける可能性があります。

 

以上から設問1の正解は選択肢アとなります。

(設問2)
設問2は空欄穴埋め問題です。
空欄穴埋め問題は、わかる空欄から考えていくのが鉄則です。
それでは各空欄を見ていきましょう。

空欄Aは知らないと判断することができません。
もしここまで知らない場合は一旦パスしてしまいましょう。

空欄Bは選択肢をみると処分者、転得者、発行者のいずれかが入りますが、有価証券報告書の虚偽記載等によって損害を受ける可能性があり、法律によって守ってあげないといけない対象は誰かと考えると、処分者が適切だと考えることができます。
そのため、選択肢アまたはイに絞ることができます。

空欄CとDはセットで、選択肢アとイに示される言葉を入れてみると、
選択肢アは
流通市場における提出会社の損害賠償責任については、発行市場における発行会社の損害賠償責任と異なり、立証責任の転換された過失責任であるとされています
選択肢イは
流通市場における提出会社の損害賠償責任については、発行市場における発行会社の損害賠償責任と同様、無過失責任であるとされています
となります。
正解は選択肢アとなるのですが、こちらについても知らないと判断が難しいかと思います。
 

もしわからない場合は空欄Eで、監査が免除されているのが選択肢アの内部統制報告書か選択肢イの有価証券報告書のどちらがもっともらしいか、という観点で考えます。
有価証券報告書と内部統制報告書では確かにどちらも重要ですが、虚偽の記載があった場合、内部統制報告書よりは有価証券報告書の方が投資家に与える影響が大きいと考えられます。
そのため、有価証券報告書の方が〇と判断でき、正解は選択肢アと推測することができます。

 

以上から設問2の正解は選択肢アとなります。

 

 

 

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