【過去問解説(財務・)】R6 第16問 株式分割

今日は、財務・会計 R6 第16問について解説します。

 財務・会計 R6 第16問

次の文章の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

株式分割によって 1 株当たり株主価値は 【A】 。なぜなら、株式分割によって発行済み株式数は増加するが、株主の持分割合は 【B 】、また、株式分割は企業の資産内容やキャッシュ・フローに影響を 【C】 ため、株主の富が【D】からである。
〔解答群〕
ア A:減少する   B:減少し   C:与える   D:減少する
イ A:減少する   B:変化せず  C:与えない  D:変化しない
ウ A:増加する   B:変化せず  C:与える   D:増加する
エ A:変化しない  B:減少し   C:与えない  D:減少する

解説

株式分割に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

株式分割とは、元々は1株だった株式を10株にするというように、株式の数を増やすことをいいます。
株式併合とは、逆に元々は10株だった株式を1株にまとめるといったように、複数の株式をまとめて株式の数を減らすことをいいます。

それでは本問の解説をしていきます。
問題文の順番とは少し入れ替わりますが、順を追って説明します。

1. 分割によって株式数は増えるが、企業の資産総額や価値は変わらない
株式分割は、例えば1株を2株にするなど、発行済株式数を増加させる手続きですが、
企業の持つ資産(現金、設備、ブランド価値など)の合計額には一切変化がありません。

例を挙げると、

ある企業の資産総額が100億円で、発行済株式数が100万株だとします。
1株あたりの理論的な価値は、100億円 ÷ 100万株 = 1万円です。
ここで株式を1株→2株に分割すると、発行済株式数は200万株になりますが、資産は変わらず100億円です。
理論上、1株あたりの価値は半分の5,000円になります。

株式数が増えても、企業そのものの価値(総資産額)は変わらないのです。

2. 株主は株式数が増えても、保有割合(持分比率)は変わらない
株式分割によって個々の株主が保有する株数は増えますが、会社全体に対する持分比率(保有割合)は変わりません。

例を挙げると、
分割前に株主Aさんが100株(発行済100万株のうち)=0.1%保有していたとします。
分割(2倍)後、Aさんは200株持つことになりますが、発行済株式も200万株に増えているため、
持分比率は依然として0.1%のままです。
株数は2倍に増えても、「会社に対するオーナーシップの割合」は変わらないのです。

3. 企業の資産内容やキャッシュフローにも影響を与えない
株式分割は単なる「株式の形式的な分割」であり、
企業の資産構成(例:現金、売掛金、設備など)や、将来稼ぐキャッシュフローには影響を及ぼしません。

例を挙げると、

分割前も分割後も、会社が持つ現金、売掛金、借金、設備投資の内容はまったく同じです。
将来得られる売上高や利益の見通しも変わりません。
分割はあくまで「見かけ上の株式数を増やす」だけであり、経営実態には一切影響しないのです。

4. そのため、株主の富(全体価値)にも変化は生じない
資産総額も、キャッシュフローも、持分割合も変わらない以上、当然ながら株主が持つ「全体としての財産的価値」も変わりません。

例を挙げると、

分割前にAさんが持っていた100株の時価総額が100万円(1株=1万円×100株)だったとすると、
分割後、株数は200株になりますが、1株の価値が5,000円になり、
総額は5,000円×200株=100万円と、変わらないのです。

株主の経済的なポジション(総資産額)に変動はない、というわけです。

まとめるとこんな感じです。

以上から、A:減少する   B:変化せず  C:与えない  D:変化しない が入りますので
正解は選択肢イとなります。

 

 

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