今日は、企業経営理論 R5 第36問(設問1)について解説します。
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
持続可能な社会実現への要請が強まるなか、企業には、①利益と社会的責任を両立させるマーケティングを検討するだけでなく、消費者にサステイナブルな消費行動を促す努力も求められている。
(設問 1 )
文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア M. ポーターが提示した CSV(Creating Shared Value)の概念では、本業と関係のある事柄で、本業の利益に還元されるものが重視され、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念よりも社会的課題を事業活動そのものと結びつけようとする側面が強調されている。
イ SDGs 経営を目指す企業は、積極的に社会的課題の解決に取り組むことを通じて取り残されてきた市場を新たに獲得するために、経済的利益にこだわってはならない。
ウ 社会へ良いことをすることが企業への好感度や売り上げの向上につながるという考えの下で実施されるプロモーションのうち、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものをソーシャル・グッドという。
エ 製品やサービスの売り上げの一部を特定の社会的課題への支援に活用するマーケティング活動はメセナと呼ばれ、この活動を増やすほど当該課題に対する関心が高まり、企業の新規顧客の獲得やブランド・イメージの醸成につながりやすい。
オ 直接的な顧客のニーズや満足だけではなく、社会全体の幸福を維持・向上させながら顧客価値を創造し、伝達し、説得していこうとするマーケティングはソサイエタル・マーケティングと呼ばれ、P. コトラーが提唱するマーケティング 4.0 と対応する。
解説
利益と社会的責任を両立させるマーケティングに関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
それでは解説を見ていきましょう。
→ ✅ 正しいです。
CSV(Creating Shared Value)は、マイケル・ポーターとマーク・クラマーが提唱した概念で、社会的課題の解決と企業の競争力強化を同時に実現することを目的としています。
従来のCSRが「企業の社会貢献活動(寄付・ボランティアなど)」として本業とは分離して行われることが多かったのに対し、CSVは社会問題の解決をビジネスの中で実現する、企業の利益と社会価値を同時に創出するという点が特徴です。
よって、この選択肢は〇です。
→ ❌ 誤りです。
SDGs経営やCSVの考え方では、社会課題の解決と企業の利益の両立が重要です。
企業が社会課題に取り組む理由の1つは、新しい市場の創出、企業価値の向上など、経済的利益にもつながる可能性があるためです。
つまり、企業は社会課題の解決を進めながらも、経済的利益と社会価値を同時に追求することが重要です。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
選択肢の説明である「社会的課題への貢献を通じて企業イメージ向上や売上増加を図る活動」は、一般にコーズ・リレーテッド・マーケティング(Cause Related Marketing)などと呼ばれます。
一方、ソーシャル・グッドは特定のマーケティング手法を指す専門用語ではなく、社会にとって良い活動・取り組み全般を指す言葉として使われることが多い概念です。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
選択肢の説明である「売上の一部を社会貢献に活用するマーケティング」はコーズ・リレーテッド・マーケティングと呼ばれます。
一方、メセナとは、芸術、文化、学術などへの企業による支援活動を指します。
よって、この選択肢は×です。



