今日は、企業経営理論 R6 第18問について解説します。
A. マズローの欲求段階説と、その修正を試みた C. アルダファーの ERG 理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ERG 理論では、例えばある人との関係において関係欲求が満たされない場合、人間はその人との関係において関係欲求を満たすことを追求し続けると考える。
イ ERG 理論では、例えば成長欲求が満たされない場合、欲求段階説の想定とは異なり、より具体的で確実性の高い目標を志向する関係欲求を満たそうとするようになる可能性を想定する。
ウ ERG 理論における関係欲求の内容は、欲求段階説における生理的欲求の一部と安全欲求、および所属と愛の欲求の一部に対応する。
エ 欲求段階説では、人間の持つ欲求を生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、自己実現欲求の 4 つのカテゴリーに分類するのに対して、ERG 理論では、生存欲求、関係欲求、成長欲求という 3 つのカテゴリーに分類する。
解説
モチベーション理論から、マズローの欲求段階説と、アルダファーの ERG 理論に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
マズローの欲求段階説とアルダファーのERG理論は、人間の動機付けの元となる欲求を説明した理論です。
マズローの欲求段階説:5段階のピラミッド型で、低次の欲求が満たされると次の段階へ進む(不可逆的)と考えます。
アルダファーのERG理論:生存・関係・成長の3分類とし、状況に応じて段階を行き来する(可逆的)という特徴があります。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:ERG 理論では、例えばある人との関係において関係欲求が満たされない場合、人間はその人との関係において関係欲求を満たすことを追求し続けると考える。
×不適切です。
ERG理論は、生存・関係・成長の3つの欲求はそれぞれ、どの段階にも変化し得ることが特徴ですので、関係欲求が満たされない場合にはより低次の欲求に戻る(退行する)ことがあるとされます。
つまり、同じ関係欲求を追求し続けるという説明は誤りです。
よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢イ:ERG 理論では、例えば成長欲求が満たされない場合、欲求段階説の想定とは
異なり、より具体的で確実性の高い目標を志向する関係欲求を満たそうとするようになる可能性を想定する。
〇適切です。
ERG理論はマズローの段階的な上昇モデルとは異なり、成長欲求が満たされない場合は低次の欲求(関係欲求など)にも戻ることが想定されています。
選択肢の説明の通り、成長欲求(高次の欲求)が満たされない場合、確実性の高い関係欲求(成長欲求より低次の欲求)を満たそうとするのはERG理論の特徴なので、この選択肢は〇適切です。
選択肢ウ:ERG 理論における関係欲求の内容は、欲求段階説における生理的欲求の一部と安全欲求、および所属と愛の欲求の一部に対応する。
×不適切です。
まとめシートの図の通り、ERG理論における関係欲求は、マズローの「所属と愛の欲求」と「承認欲求の一部」に対応します。
マズローの生理的欲求はERG理論の「生存欲求」に分類されるため、「生理的欲求の一部」まで含めるというのは誤りです。
よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢エ:欲求段階説では、人間の持つ欲求を生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、
自己実現欲求の4つのカテゴリーに分類するのに対して、ERG 理論では、生存欲求、関係欲求、成長欲求という3つのカテゴリーに分類する。
×不適切です。
マズローの欲求段階説は「生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現欲求」の5段階です。
つまり、4つのカテゴリーとするのは誤りです。
なお、ERG 理論では、生存欲求、関係欲求、成長欲求という 3 つのカテゴリーに分類する。という記述は正しいです。
よってこの選択肢は×不適切です。
以上から、正解は選択肢イとなります。
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