【過去問解説(経済学)】H27 第13問 需要曲線と供給曲線

先週水曜日から昨日にかけ、いろいろとバタバタしており、更新ができておりませんでした。

今日から、改めて毎日更新させていただきたいと思います。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

 

今回はH27年第13問の需要曲線と供給曲線の問題について解説します。

H27 経済学 第13問

近年では、企業の業績が上向いてきたことなどもあり賃金が上昇傾向にあるが、賃金上昇が労働者に与える影響を経済モデルで考えてみたい。
いま、ある消費財の消費量をC、その価格を1とする。個人は、賃金率wでLという時間だけ労働してwLという所得を稼ぎ、当該の消費財を消費することができる。1日24時間のうち労働以外の時間を余暇Rとすると、労働時間はL=24-R と表すことができる。こうした仮定のもとにある個人は、C=w(24-R)という制約の中で、CとRを組み合わせることになる。ただし、労働に投じることができる時間は、最大で12時間(L≦12)であるものとする。下図は、上記の仮定を踏まえて、賃金率wの場合と賃金率w′の場合(w < w′)とに分けて、個人が直面する制約が右下がりの直線として描かれている。また、この制約線と無差別曲線 Ui(i=1,2)との接点として、それぞれの場合における最適なCとRの組み合わせが与えられている。この図で、賃金率がwからw′へ上昇したものと想定した場合の記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]
ア この図では、賃金率の上昇に伴って生じる所得効果と代替効果を合計した効果(全効果)は、余暇時間を減少させる。
イ この図では、賃金率の上昇に伴って生じる所得効果と代替効果を合計した効果(全効果)は、労働時間を減少させる。
ウ この図では、賃金率の上昇に伴って生じる所得効果は、労働時間を増加させる。
エ この図では、賃金率の上昇に伴って生じる代替効果は、余暇時間を増加させる。

解説

今回の問題では、ぱっと見難しそうに見えますが、落ち着いてスルツキー分解を行うことができれば、見た目ほど難しくはない問題です。

それでは問題を考えていきましょう。

解答群を見ると、この問題では、賃金率が上昇することで所得効果と代替効果がどうなるか、ということが問われていることがわかります。

そのため、問題文は長々といろいろ書いていますが、解答群を先にさっと眺めることで、「要はスルツキー分解して所得効果と代替効果を求めれば」と考えることができ、問題文中の長々とした条件も、さらっと読むことができます。

それでは、今回の問題の場合でスルツキー分解をやってみましょう。
説明の都合上、下図のようにU1と当初の予算制約線との交点を点A、U2と賃金率が上がった後の予算制約線との交点を点Bとします。

まず、賃金率が上がった後の予算制約線と並行で、U1に接する補助線を引きます。(U1と補助線の接点をCとします。)
すると、点Aから点Cへの動きが代替効果、点Cから点Bへの動きが所得効果となります。
そして、全効果は代替効果+所得効果ですので点Aから点Bへの動きとなります。
(下図参照)

それでは、これを踏まえて解答群を見てみましょう。

解答群のアは、点Aから点Bで余暇時間が増える方向に移動していますので×です。

解答群のイは、余暇時間が増えるということは労働時間が減少するということですので〇です。

これで解答がイに確定できましたが、念のため残りの解答群も見てみましょう。

解答群のウは、所得効果は余暇時間を増やす、つまり労働時間を減少させる効果があるため×です。

解答群のエは、代替効果は余暇時間を減少させる効果があるため×です。

以上から正解は選択肢イとなります。

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