【過去問解説(財務・会計)】H24 第16問 WACC(加重平均資本コスト)

今日は、財務・会計 H24 第16問 について解説します。

 財務・会計 H24 第16問

以下のデータに基づいて、加重平均資本コストを計算したとき、最も適切な数値を下記の解答群から選べ。なお、自己資本コストは配当割引モデルによって求めるものとする。

(単位:万円)
  時価
負債 5,000
自己資本 5,000

発行済み株式数:100万株

現在の1株当たり配当金:5円

配当成長率:10%

負債の税引前コスト:4%

実効税率:40%

〔解答群〕

ア 6.7%
イ 7%
ウ 11.3%
エ 11.7%

解説

WACC(加重平均資本コスト)と割引配当モデルに関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

■ 問題のポイント

本問は、「加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital)」の計算問題です。

WACCとは、企業が資本(自己資本と負債)を調達する際の全体としてのコストを示すもので、以下の2つを求めて加重平均します。

  • 自己資本コスト(配当割引モデルを使用)
  • 税引後の負債コスト

■ 前提となる知識

WACCの式:

WACC = (D / (D + E)) × rd × (1 – t) + (E / (D + E)) × re

※D:負債、E:自己資本、rd:負債コスト、t:税率、re:自己資本コスト

配当割引(定率成長モデル)の式:
配当が毎年一定の割合で成長する定率成長モデルを仮定した場合、以下の式で表せます。

株価 = 1年後の配当 ÷(株主の期待収益率 − 成長率)
P = dn+1 / (rE − g)  

※P:株価、g:成長率、dn+1:1年後の配当

■ 計算過程

① 自己資本コストの算出

  • 配当:5円
  • 配当成長率:10%
  • 来期配当 D₁ = 5 × (1 + 0.1) = 5.5円
  • 株価 P₀ = 5,000万円 / 100万株 = 50円
re = 5.5 / 50 + 0.10 = 0.11 + 0.10 = 0.21(21.0%)

② 税引後の負債コスト

  • 税引前コスト:4%
  • 実効税率:40%
rd × (1 - t) = 0.04 × (1 - 0.4) = 0.024(2.4%)

③ WACCの算出

  • 負債:5,000万円
  • 自己資本:5,000万円
  • 全体:1億円 → 1:1の構成
WACC = 0.5 × 0.024 + 0.5 × 0.21 = 0.012 + 0.105 = 0.117(11.7%)

✅ まとめ

  • 自己資本コスト:21.0%
  • 税引後の負債コスト:2.4%
  • WACC:11.7%

以上から正解は 選択肢エです。

 

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