今日は、財務・会計 R5(再試)第13問について解説します。
D社は卸売業を営んでいる。以下のD社の資料に基づく売上および仕入に関するキャッシュ・フローの記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 売上によるキャッシュ・インフロー:960 万円
仕入によるキャッシュ・アウトフロー:560 万円
イ 売上によるキャッシュ・インフロー:960 万円
仕入によるキャッシュ・アウトフロー:570 万円
ウ 売上によるキャッシュ・インフロー:1,040 万円
仕入によるキャッシュ・アウトフロー:560 万円
エ 売上によるキャッシュ・インフロー:1,040 万円
仕入によるキャッシュ・アウトフロー:570 万円
解説
キャッシュ・フローに関する問題です。
売上によるキャッシュ・インフローを求めるにあたっては、当期売上高をもとに、現⾦収⼊に結び付かない売上の対価である売上債権(本問の場合は売掛金)の増加額を差し引きます。
1,000万円-(120万円-80万円)=960万円
仕入によるキャッシュ・アウトフローを求めるにあたっては、当期仕入高をもとに、現⾦⽀出ではない仕⼊の対価である仕⼊債務(本問では買掛金と支払手形)の増加額を差し引きます。
600万円-{(70万円+20万円)-(40万円+10万円)}=560万円
なお、今回は未払い金と支払手形は加味されませんが、その理由も解説していきます。
✅ 直接法におけるキャッシュ・フロー計算書の特徴
直接法では、営業活動によるキャッシュ・フローを以下のように表示します:
現金収入(キャッシュインフロー):商品販売による現金収入、売掛金の回収など
現金支出(カッシュアウトフロー):仕入れや経費に対する現金支出、買掛金の支払いなど
この方法では、実際に現金が動いた取引のみを反映し、未払いの取引や在庫の増減など、現金の移動を伴わない項目は含まれません 。
✅ 未払金が加味されない理由
未払金は、商品やサービスを受け取ったが、まだ現金を支払っていない債務を指します。
直接法では、実際に現金が支払われた時点でキャッシュ・フローに反映されるため、未払金の増減はキャッシュ・フロー計算書には表示されません。
✅ 商品(棚卸資産)が加味されない理由
商品の増減は、在庫の変動を示すものであり、現金の支出や収入を直接伴わない場合があります。
例えば、商品を仕入れても支払いが未払いであれば、現金の支出は発生していません。
したがって、直接法では、実際に現金が支払われた仕入れのみがキャッシュ・フローに反映され、在庫の増減自体は加味されません。
以上から、正解は選択肢アとなります。
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