今日は、財務・会計のH24 第10問 設問1について解説します。
当期と前期との比較損益計算書(要約)は次のとおりである。これに基づいて下記の設問に答えよ。
(設問1)
付加価値率に前期と当期で変化がなく、平均従業員数が前期は 30 人、当期は32 人であるとき、生産性の変化に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア 従業員1人当たり売上高が上昇し、付加価値労働生産性が上昇した。
イ 従業員1人当たり売上高が上昇し、付加価値労働生産性が低下した。
ウ 従業員1人当たり売上高が低下し、付加価値労働生産性が上昇した。
エ 従業員1人当たり売上高が低下し、付加価値労働生産性が低下した。
解説
経営分析のうち、労働生産性に関する問題です。
公式について、まとめシートでは以下の通りまとめています。
それでは実際に計算をしていきましょう。
■ 問題の前提確認
・付加価値率は変化しない
・平均従業員数は「前期:30人」→「当期:32人」
■ 基礎知識の整理
● 労働生産性(付加価値労働生産性)
労働生産性 = 付加価値額 ÷ 従業員数
● 1人当たり売上高
1人当たり売上高 = 売上高 ÷ 従業員数
● 付加価値率
付加価値率 = 付加価値額 ÷ 売上高
したがって、付加価値率が一定であるということは、付加価値額は売上高に比例することになります。
この関係を利用すると、付加価値額の増減は売上高の変動と同じ傾向を示すと判断できます。
■ 各数値の計算
1. 1人当たり売上高
前期: 1,000 ÷ 30 = 33.33百万円
当期: 1,200 ÷ 32 = 37.5百万円
→ この結果、当期は前期より 1人当たり売上高が上昇していると判断できます。
2. 労働生産性(付加価値額 ÷ 従業員数)
付加価値率を x(一定の値)とおくと
前期の付加価値額: 1,000 × x = 1,000x
当期の付加価値額: 1,200 × x = 1,200x
これをもとに労働生産性(=付加価値額 ÷ 従業員数)を計算すると、
前期: 1,000x ÷ 30 = 33.33x
当期: 1,200x ÷ 32 = 37.5x
つまり、付加価値率が一定であれば、売上高の変化と同じ割合で付加価値額が増減するため、
労働生産性の比較は「売上高 ÷ 従業員数」の比較と同じになります。
→ この結果、当期は前期より労働生産性が上昇していると判断できます。
以上から正解は選択肢アです。
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