今日は、運営管理 R7 第36問について解説します。
荷主であるA社とB社は、X県とY県の間でトラックによる社内輸送をそれぞれ行っており、このたび協力して帰り荷の確保という取組を行った。この取組前を基準とした取組後の変化に関する記述として、最も適切なものを次ページの解答群から選べ。
なお、次ページの条件のみを踏まえて解答すること。
【取組前】
A社とB社の輸送では、トラックがそれぞれ 1 台ずつ運行していた。
A社の貨物を積載したトラックは、X県の倉庫 AX からY県の倉庫 AY へ貨物を積載して走行(実車走行)した後に、倉庫 AY から倉庫 AX へ貨物を積載せずに走行(空車走行)していた。
B社の貨物を積載したトラックは、Y県の倉庫 BY からX県の倉庫 BX へ実車走行した後に、倉庫 BX から倉庫 BY へ空車走行していた。
【取組後】
トラック 1 台で、A社の実車走行後にB社の貨物を積載して輸送する帰り荷の確保という取組を行った。
トラックは、①倉庫 AX でA社の貨物を積載してから倉庫 AY へ実車走行した後に、②倉庫 BY へ空車走行して、③倉庫 BY でB社の貨物を積載してから倉庫 BX へ実車走行し、④倉庫 AX へ空車走行した。
【解答に当たっての条件】
・トラックの最大積載量は、【取組前】と【取組後】におけるすべての輸送において同じである。また、輸送貨物量は、A社の倉庫 AX から倉庫 AY への輸送と、B社の倉庫 BY から倉庫 BX への輸送においてすべて同じである。
・トラックの実車率はトラックの走行距離に占める実際に貨物を積載して走行した距離の割合であり、積載率は貨物を積載して走行するトラックの最大積載量に占める実際に積載した貨物の量の割合である。
・【取組後】の空車走行の距離(②倉庫 AY と倉庫 BY の間の距離と④倉庫 AX と倉庫 BX の間の距離の合計)は、【取組前】のA社の空車走行の距離(倉庫 AX と倉庫 AY の間の距離)とB社の空車走行の距離(倉庫 BX と倉庫 BY の間の距離)の合計よりも短いとする。
〔解答群〕
ア トラックの実車率と積載率はともに変わらなかった。
イ トラックの実車率と積載率はともに上昇した。
ウ トラックの実車率と積載率はともに低下した。
エ トラックの実車率は変わらなかったが、積載率は上昇した。
オ トラックの実車率は上昇したが、積載率は変わらなかった。
解説
輸送のうち、積載率と実車率に関する問題です。
分かりやすいように、問題文の図に少し補足を入れて説明します。
【取組前】
- A社トラック:AX→AY 実車、AY→AX 空車
- B社トラック:BY→BX 実車、BX→BY 空車
- 実車距離:AX–AY 間 d₁、BY–BX 間 d₂ とすると、
-
-
実車距離合計=d₁+d₂
-
走行距離合計=2d₁+2d₂
→ 実車率=(d₁+d₂)/(2d₁+2d₂)=1/2
-
-
【取組後】
-
1台のトラックが
① AX→AY 実車(A社)距離 d₁
② AY→BY 空車
③ BY→BX 実車(B社)距離 d₂
④ BX→AX 空車 -
実車距離合計=d₁+d₂(これは取組前と同じ)
-
空車距離合計=②+④ であり、条件より
②+④ < d₁+d₂(=取組前の空車距離合計)
したがって、
-
走行距離合計(=実車+空車)は取組後の方が短い
-
実車距離は同じ
→ 実車率 = 実車距離 / 走行距離合計 は 取組後の方が大きくなる(上昇する)。
一方、積載率は「貨物を積載して走行するトラックの最大積載量に占める、実際に積載した貨物量の割合」です。
条件より、
-
トラックの最大積載量は前後で同じ
-
A社・B社とも、1回あたりに輸送する貨物量も前後で同じ
したがって、
-
積載して走行する区間(AX→AY、BY→BX)それぞれで見た「貨物量 ÷ 最大積載量」は、取組前後で変わりません。
→ 積載率は 変わらない。
これを踏まえて選択肢を見ていくと
→ ✅ 正しいです。
空車距離が短縮されたことで、実車距離の割合(実車率)は上昇します。一方、積載時の貨物量とトラックの最大積載量は前後で変わらないため、積載率は変化しません。
よって、この選択肢は〇です。
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